零の贖【地縛少年花子くん】 (ページ26)

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宿泊学習 -陸と会議- ページ26

七番を置いて書庫を去り、部屋に戻ってきた。
椅子に背中を預け、足を机に上げて組む。

さて、どうしようか。

させるものかと意気込んだものの、対抗策など勿論無いし浮かんでくる様子も無い。

頼れる人なんて居ないしね。

腕を組みながらそんな悲しい事を考えて、ふっと目を時計に遣る。

真下に近い短針を見て気付く。

もうすぐ会議の時間だったっけ。

七不思議が全員集まる会議。
開かれると分かってはいるが動く気は無い。
そういうのには出ない主義だ。

策を考えている内に、瞼がだんだんと重たくなってくる。

船を漕ぎ始めた時、

「……なに？」

微かに何かの音が届いた。

なんだか聞き覚えが有る様な、無い様な。

耳を澄ませば鮮明に聞こえてくる。

綺麗で流れる様な

笛の音。

あぁ、思い出した。
これは六番だ。

噂を聞いた事がある。
盆にしか姿を見せない怪異。

一体何をしているのだろうと頭を動かしていると

今度は叫ぶ声が響いた。

「ネネちゃん……？」

その声に部屋を飛び出す。
流石にあの子は怪異に関わり過ぎではないか。

この場面、前にもあったよね。

いつしかの出来事に思いを巡らせていると
然程距離が無かったのか、直ぐに見付ける事が出来た。

数メートル先には、エレベーターらしき物に乗り込んで行くネネちゃんと、一番。

何故一緒に居るのかは知らないが、見るからに安全では無い場所に入り込もうとする二人に大きな声を投げる。

「入っちゃ駄目！！」

振り向いた二人。
が一寸遅くて扉が閉まっていった。

其処に辿り着いた時には、もうエレベーターも消えていて。

「嘘でしょ……。」

独り呆然と立っているしかなかった。