10年越しの君は。 ページ46
幸せすぎて。いいのかなこんなに幸せで。
「…俺いま幸せ」
同じことを思ってたみたいで、クスッと笑う。
えー、なに？なんで笑ったのー？とか言ってきたけど、
少し離れて知ーらない！とか言って誤魔化した。
「Aちゃん…」
「え？！」
「…って呼んでもいい？」
「えっ、あ、うん。もちろん」
突然びっくりした。急に下の名前で呼ばれると驚くけど歓喜が勝ってる。
「ラフツボのコントの時、下の名前で呼ばれてドキッとしてた」
「ふふふ、私も」
「Aちゃん」
「…なあに、翔太くん」
「ふはは！なんか照れるね」
「うん、照れる」
下の名前を呼び合って照れ笑い。
なんだこれ！
中学生なのかな！甘酸っぱすぎる。
でも素直にキュンキュンしてる。
そのあとも少しだけお話しして、
時刻は23時を回ろうとしていた。
翔太くん明日仕事かな？今日はどうするんだろう。
もう帰っちゃうのかな。それは寂しい。
…泊まる？まさかお泊まり？
いやいや、流石に！付き合った今日に突然泊まるのは
恋愛初心者にはハードルが高い！
でもこんな夜遅くに追い出すのも…。
うーうー！どうしよう！
「…もうこんな時間だね」
「うん…」
「俺今日は帰るね」
「えっ…」
「…寂しそうな顔しないでー。俺も本当は帰りたくない」
「…」
「でも今日の今日ですぐ泊まりはしないよ」
「…うん」
「本当に大切にしたいから」
「…ありがとう」
翔太くんが帰るため玄関に向かった。
私も見送る。
「気をつけて帰ってね」
「うん、ありがとう」
靴を履き終わった翔太くん。
もう帰っちゃう…。泊まって欲しいのかそうじゃないのかどっちなんだい、私よ。
寂しさを隠してたら翔太くんがクルッと向きを変えて私を見た。
「俺多分本当は、Aちゃんにずっとこの気持ち言いたかったんだよね」
「…うん」
「やっと言えた！」
「…私も素直になれてよかった」
「高校のときもだから…10年越し？」
「…結構時間経ったね」
「そうだね。でもこの期間がなかったら多分俺ら今こうなってないよ」
「…そうだね」
懐かしさも感じつつ、いま目の前に翔太くんがいることが新鮮で幸せ。
「10年越しにAちゃんの彼氏になれた」
口角を少し上げて、私のおでこにキスをした。
じゃね、ゆっくり寝てね、と言って手を軽く上げて帰っていった。
ヘナヘナと力が抜ける。
ゆっくり寝れなさそう。
彼氏になるとこんな感じなの？
10年越しの渡辺くんは、
知らない人のようにも思えた。
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おでん(プロフ) - みかんさん» コメントありがとうございます。そう言っていただき嬉しいです！ありがとうございます！ (2021年3月4日 7時) (
レス) id: 0eda0cdbe1 (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - おでんはんはじめまして！このお話本当に大好きです！今までにないテイストで今後も更新楽しみにしてます(^^) (2021年3月2日 20時) (レス) id: 7b49f138be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おでん | 作成日時：2021年2月20日 21時
