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さえちゃんのお父様から、誠意の有りすぎる謝罪を受けた後、私と雑渡様は帰路についた。

「雑渡様、私にさえちゃんのお父様と会わせるつもりでいらっしゃったのね。」

あの男性が、さえちゃんのお父さんだと雑渡様は知っていて、私と彼を会わせたのだ。

「謝罪の機会がほしいって言われたからね。」
「まあ、そうでしたの」

信用していただけるようになったのは嬉しいわね。…雑渡様は、私のこと、信じてくださっているのかしら。

「雑渡様、雑渡様は、私のこと…まだ信じていただくことはできませんか?」
「…そんなの、とっくに信じてるよ。」
「…ふふ、うれ、しいです。」

自分で聞いたことだけれども、はっきり言われると気恥ずかしくなる。

自分でもわかるほど顔が熱い。

赤くなった顔をなだめながら歩いていると、いつの間にかお屋敷の前についていた。

雑渡様がからからと戸を引き、私を先に中に入れてくれた。

流石に時間も時間なので、外も真っ暗、家の中は更に暗かった。

トンッ、と戸が閉まる音がした。

夕餉の準備をしようと台所へ行こうとしたとき。

「ねえ、ところで」
「え?」

なんでしょう、と言おうとしたけれど、言葉を紡ぐことはできなかった。

ぐっと肩を掴まれて、壁に背中を押し付けられる。

「なんであんな無茶したの。」
「え、あ、ざっと、さま」

顔が近い、近いわ…!

端正な顔にじっと見つめられ、身動きができない。

どくどくと、心臓の鼓動がはやくなってくる。

「私が来なかったらどうするつもりだったの。」
「そ、それは、」
「一歩間違えたら死んでた。」
「あの位置だと、肩に当たるだけで、すむかと、おもって…」
「刃に毒が塗ってあったかもしれない。」
「で、でも、あの忍、前から捕まっていて、毒なんてもう持っていなかったのでしょう…?」
「…そうだよ。違う牢に移そうとしたときに逃げた。」
「ほら、だから、」
「いつでも守れるわけじゃない」
「…」
「お願いだから心配させないで」
「…ごめん、なさい」

とん、と肩になにかが乗っている。

真っ暗闇の中で分かったのは、それが雑渡様の頭だったということだけ。

そう分かった瞬間、顔がまた熱くなった。

ああ、強引に許嫁になった私を、心配してくださるなんて。そんなところも、大好き。

好き、という思いが溢れ出して、きゅっと心が締め付けられた。

「雑渡様、夕餉の準備…」
「え今それ言う?」

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設定タグ:忍たま , 雑渡昆奈門 , タソガレドキ   
作品ジャンル:恋愛
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ゆき - ハナイツキさん» 今までお付き合いいただき、本当にありがとうございました!最初の方から何度もコメントを頂いて、本当に励みになりました!感謝の言葉しかございません。さらなるいちゃらぶを目指しますので、続編もよろしくお願いいたします! (2023年5月2日 23時) (レス) id: 11850f2a40 (このIDを非表示/違反報告)
ハナイツキ - 完結お疲れ様です!本ッッッッ当に大好きな小説です!もう雑渡さんにキュンキュンしまくりで、最後の結婚のくだりでは涙ぐみながら読むくらい、、続編も読ませていただきます!雑渡さんとのいちゃラブ生活のご提供、本当にありがとうございました!!! (2023年5月1日 23時) (レス) @page50 id: a0586360be (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - ミリリン(・ω・)さん» 最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。続編も書こうと思っておりますので、気長にお待ちいただければと思います。続編もよろしくお願いいたします! (2023年3月28日 23時) (レス) id: 11850f2a40 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - astrumさん» 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!続編については、書いてみようかなと思っております。続編の方も、よろしくお願いいたします。雑渡さんとのいちゃらぶ生活…頑張ります笑 (2023年3月28日 23時) (レス) id: 11850f2a40 (このIDを非表示/違反報告)
ミリリン(・ω・) - え?好きです。 ヤバイですね むっちゃ面白かったです! 続編出たら絶対読みます。 気長に待っています! お疲れ様でした! 素敵な作品をありがとうございました! (2023年3月28日 21時) (レス) @page50 id: 5a9db1aae6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆき | 作成日時:2022年1月30日 0時

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