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「ふふ」

悪戦苦闘しているふたりがあまりにも可愛くて、笑ってしまった。

「ふたりとも、ここはこうするとやりやすいわよ。」
「こ、こうかしら…」
「はつねちゃん、ここでぐるっと回してあげるのよ。そうすればうまくいくわ。」
「Aさま、ここはどうすればいいの?」
「ここはね…」

三人で夢中になって冠づくりに集中してしまっていたのか、はっと気がつくと空は夕日に染まり始めていた。

あっというまに時間は経つわね。そろそろ帰らないとみんなのご両親が心配なさるでしょう

「そろそろ帰りましょうか」
「はーい」
「わたし、四人にもいってくるわ!」

そういって、さえちゃんが駆け出した瞬間のことだった。

「おい、待て!!!」
「逃げたぞ、追え、追え!!!」

複数人の怒号が聞こえ、なにかがものすごい勢いでこちらへやってくるのが見えた。

そのなにかを追いかける、タソガレドキ忍軍の方々。

なにか、は次第に私達の方へ近づいてきた。

あれは、人…?

目を凝らすと、真っ黒の忍び装束を着た忍びだとわかった。

タソガレドキの忍び装束は黒に近い茶色。

つまり逃げている人は、タソガレドキの忍びではない。

まさか、捕らえていた敵の忍者が、逃げ出したの…?

その考えに至った瞬間、背筋が凍った。

とてつもなく、嫌な予感がした。

「みんな、伏せて!!!!」

子どもたちはまだ気づいていなかった。

遠くにいる4人に聞こえるように、大声で叫ぶ。

それでも4人には聞こえなかったらしく、4人を呼びに行こうとしていたさえちゃんだけが振り返った。

「え、Aさま?」

びゅん、と嫌な音が耳をかすめた。

手裏剣が、さえちゃんに向かって飛んでいく。

「さえちゃん!!!」

気がつけば、私はさえちゃんに向かって駆け出していた。

手を伸ばしてぎゅうっとさえちゃんを抱え込む。

ああ、さえちゃんに当たりませんように…!

そう願って、さらに温かい小さな体を抱きしめた。

手裏剣が背中に刺さるかと覚悟した瞬間、

「ちょっと、私の許嫁に何してくれるわけ?」

ガキン、と金属同士がぶつかる音がした。

敵の忍者だと思われる者は、あっという間に捕らえられていた。

「あ、…ざ、ざっとさ、ま…」

ゆっくりと目を開くと、そこには大好きな人がいた。

「…はああああ、だめでしょ、無鉄砲なことしちゃ」
「あ、ご、ごめんなさい…」
「怪我しなくてよかったよ、ふたりとも」

そっと腕の中できつく抱きしめていた体を解放する。

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設定タグ:忍たま , 雑渡昆奈門 , タソガレドキ   
作品ジャンル:恋愛
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ゆき - ハナイツキさん» 今までお付き合いいただき、本当にありがとうございました!最初の方から何度もコメントを頂いて、本当に励みになりました!感謝の言葉しかございません。さらなるいちゃらぶを目指しますので、続編もよろしくお願いいたします! (2023年5月2日 23時) (レス) id: 11850f2a40 (このIDを非表示/違反報告)
ハナイツキ - 完結お疲れ様です!本ッッッッ当に大好きな小説です!もう雑渡さんにキュンキュンしまくりで、最後の結婚のくだりでは涙ぐみながら読むくらい、、続編も読ませていただきます!雑渡さんとのいちゃラブ生活のご提供、本当にありがとうございました!!! (2023年5月1日 23時) (レス) @page50 id: a0586360be (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - ミリリン(・ω・)さん» 最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。続編も書こうと思っておりますので、気長にお待ちいただければと思います。続編もよろしくお願いいたします! (2023年3月28日 23時) (レス) id: 11850f2a40 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - astrumさん» 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!続編については、書いてみようかなと思っております。続編の方も、よろしくお願いいたします。雑渡さんとのいちゃらぶ生活…頑張ります笑 (2023年3月28日 23時) (レス) id: 11850f2a40 (このIDを非表示/違反報告)
ミリリン(・ω・) - え?好きです。 ヤバイですね むっちゃ面白かったです! 続編出たら絶対読みます。 気長に待っています! お疲れ様でした! 素敵な作品をありがとうございました! (2023年3月28日 21時) (レス) @page50 id: 5a9db1aae6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆき | 作成日時:2022年1月30日 0時

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