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城も無くなり、領土も家臣たちも全て無くなった。
これでよかったのでしょうか、お父様。
記憶の中にある父に問いかけても、返事は返ってこない。
たけど、家臣たち全員が亡くなってしまった今、私が城を持ったところで何もできず、ただ領土が荒れてしまうだけ。
だから、全てを手放した。
「何もかも、無くなってしまったわね。」
ぽつりと呟くと、さらに現実味を帯びた。
何もかも、無くなった。
城も、父も母も、忠誠心があつい家臣たちも、忍びたちも。
どうか皆が安らかに眠ってくれるように、祈ることしか私にはできない。
城を無くしたことで、私は姫ではなくなった。
姫で無くなった以上、この屋敷でずっとお世話になるのも気が引ける。
幸い、母の教育で家事や料理などはできるけれど、それを活かして生きていけるだろうか。
これからどう生きようか、わからなくなってしまった。
文机に突っ伏し、思いを巡らせたところではっとする。
タソガレドキに、行かなければ。
あまりにも忙しくて、ずっと前に顔を見せにこいと言われていたことを忘れていた。
父と母の仇を打ってくれたお礼も兼ねて、挨拶をしに行ってもいいかもしれない。
そう決めたらあとは早かった。
タソガレドキに手紙を出し、行く日を決めた。
タソガレドキ、といえば、私には忘れられない人がいる。
甚兵衛様が父に会いに来られた時に見た忍びの方。
確か、雑渡さん、という方だったと思う。
彼は、私の目を惹きつけて離さなかった。
なぜだかはわからない。
甚兵衛様のそばにお控えになっていただけなのに、私の目は雑渡様にずっと向いていた。
一目惚れだった。
それ以来、あの方には会えていない。
だけど、もしかしたら、会えるかもしれない。
そう思った瞬間、私の心は軽く浮き足立った。
私は今、姫ではなくただの1人の女で、忍びに想いを寄せてはならないと縛る必要もない。
もし会えたら、想いを伝えたい。
ずっと、ずっと胸に秘めていた想いを、知ってもらいたい。
あわよくば、嫁ぎたい。
「ふふ、少し、欲張りかしら。」
それほどに恋をするのは初めてだった。
姫と忍びが結ばれるなんてことはあり得なかったけれど、私はもう姫ではない。
ならば、想いを伝えても、いいだろうか。
父と母は、私が想いを伝えることを、許してくれるだろうか。
でも、伝えないで後悔するより、伝えて後悔する方がよっぽどいい。
ふふ、とほおが緩む。
久しぶりに、笑った気がした。
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ゆき - ハナイツキさん» 今までお付き合いいただき、本当にありがとうございました！最初の方から何度もコメントを頂いて、本当に励みになりました！感謝の言葉しかございません。さらなるいちゃらぶを目指しますので、続編もよろしくお願いいたします！ (2023年5月2日 23時) (
レス) id: 11850f2a40 (このIDを非表示/違反報告)
ハナイツキ - 完結お疲れ様です！本ｯｯｯｯ当に大好きな小説です！もう雑渡さんにキュンキュンしまくりで、最後の結婚のくだりでは涙ぐみながら読むくらい、、続編も読ませていただきます！雑渡さんとのいちゃラブ生活のご提供、本当にありがとうございました！！！ (2023年5月1日 23時) (レス) @page50 id: a0586360be (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - ミリリン(・ω・)さん» 最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。続編も書こうと思っておりますので、気長にお待ちいただければと思います。続編もよろしくお願いいたします！ (2023年3月28日 23時) (レス) id: 11850f2a40 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - astrumさん» 最後まで読んでいただき、ありがとうございました！続編については、書いてみようかなと思っております。続編の方も、よろしくお願いいたします。雑渡さんとのいちゃらぶ生活…頑張ります笑 (2023年3月28日 23時) (レス) id: 11850f2a40 (このIDを非表示/違反報告)
ミリリン(・ω・) - え？好きです。 ヤバイですね むっちゃ面白かったです！ 続編出たら絶対読みます。 気長に待っています！ お疲れ様でした！ 素敵な作品をありがとうございました！ (2023年3月28日 21時) (レス) @page50 id: 5a9db1aae6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆき | 作成日時：2022年1月30日 0時
