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皆の思い ページ3

…最初に答えたのは、上杉。

「はい。」

もう一度顔を上げ、彩の母を、真っすぐと見つめた。

「好きです。立花のこと。」

そんな上杉を、仲間を、少し意外そうに見る。

上杉は、決して、自分からそんな事を言う性格ではなかったからだ。

きっと、上杉の中にある何かが、そう言わせているのだろう。

それはそう……………後悔。

あの時、ああ言えばよかった。気持ちを伝えておけばよかった。


後悔と、自責。


「一年前から、ずっと。気づいたのは、立花に会ってだいぶたってからだけど。本当は、もっと以前から好きだったんだと思います。」

上杉は、彩の、固く閉ざされた瞳を見た。

長い睫毛が、まるで天使が羽を休めているかのように、その頬に影を落としている。

上杉の強い思いが伝わり、ほかのメンバーの心を揺さぶった。


「……俺も、アーヤのこと、好きです。」

次に言葉を発したのは、黒木。

艶やかな瞳をして、彩を見下ろす。

「最初に出会った時から、ずっと。」

それで、口を閉ざす。

きっと、彩との思い出を思い出していたのだろう。

その思い出がどんなものなのか、彩の母には分からない。

しかし、とてもいい記憶であるのは、確かだった。

「俺もです。」

美門が、悲し気な微笑を浮かべた。

「こいつらとは違って、劇的な出会い方をしたわけじゃないし、最初はただのクラスメートだとしか認識してませんでした。でも…KZと触れ合っていくうちに、いつの間にか視界に入っていたんです。」

苦しげにため息をつく。

小塚も、どこか寂しそうに微笑む。

「僕もですよ。…アーヤと一緒にいる時間が、とても楽しくて。気づいたのは、アーヤが飛び降りてからだし、初恋でもないけれど。」

そして、遠くを見つめるような眼をした。

最後は、若武。

「俺は……。」

そういって、口を紡ぐ。

しかし、目を一瞬閉じて、口を開いた。

「好きです。大好きです。アーヤのことが。」

そういったきり口を閉ざす。


若武は生来、口数が多い。自分の口に自信もあることと、派手好きなこともあり、必要以上に話を大きくして、どんどん尾ひれをつける癖があった。しょっちゅう上杉と衝突するのも、そんな若武の派手なところと、上杉のシンプルで論理的なところが、合わないためだ。

そんな若武の、この口数の少なさ。きっと、この思いこそが、若武の偽りなき真実の思いだからだろう。



好き



それこそが、本当の、飾らない、思い。

「そう…。」

思われてる→←好きなんでしょ?



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美羽 - すごくおもしろかったです。 (2月6日 15時) (レス) @page50 id: abf6832c1a (このIDを非表示/違反報告)
ふゆ - 涙が止まりません、!こんなに感動するいい話初めてです!これからも応援するので頑張ってください! (11月5日 13時) (レス) @page50 id: b10f41175b (このIDを非表示/違反報告)
イズミ - ものすごくいい話だと思います。途中で、涙が出て止まらなくなってしまいました。こんなにも感動する話を書けるなんてすごいと思います。全力で応援するので、頑張ってください! (2023年3月11日 20時) (レス) @page50 id: 6ccf209779 (このIDを非表示/違反報告)
彩花 - 涙の止め方…誰か教えてください……(´;ω;`)ウッ… (2022年7月20日 9時) (レス) @page50 id: 7969a82418 (このIDを非表示/違反報告)
小三 - 後半涙が出てしまい止まりませんでした。面白い?というかなんだろう。感動してしまう作品ですね。 (2022年4月19日 18時) (レス) @page50 id: a6b1297b7c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花畑 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2016年4月23日 13時

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