あぁ、君は魔法使いだ ページ39
2着という旗を持って帰れば、クラスメイトから惜しかったという声が聞こえてきた。コネシマ君も褒めてくれたが、一歩目が出遅れてしまった私を見ていたらしく、嫌いじゃない口角のあげ方をして無邪気に目を細める。
「…てかその旗、こっち持って帰ってきてええんか?」
『あっ!!!!』
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異変を感じたのは午前のプログラムが終わってからだった。少し肌寒くなってジャージを着るも、あまり改善された気はしない。
「Aさん、ちょっと来てほしいんだけど」
もしかしてこれが呼び出しというものだろうか。
緑色のクラスTシャツを着た、ゾム君のクラスの、香水の強い彼女。毛先が巻かれた髪をツインテールにし、緑色の鉢巻は頂点でリボンに形作られている。
友人は体育委員の仕事で席を外している。お昼のプログラムはもう始まった。私が出る競技はもう無い。手が震えるのを知らないフリして、彼女の後ろへ続く。
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「私、コネシマ君のことが好きなの」
知ってる、知ってるとも。
「1年の頃同じクラスで、何回も隣の席になったの。いっぱい、可愛くなる努力もしたの」
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「なのに、なんでコネシマ君はあんたを選ぶの。私の方が絶対に幸せにしてあげられる。いっぱい好きだって、言ってあげるのに、」
コネシマ君は、私を選んだわけじゃない。もし仮に、コネシマ君が私に気が合ったとしても、共に怪異を体験したという仲間意識のはずだ。だから、自惚れることはしない。
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『けど、私だってコネシマ君のこと好きだよ』
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@眠猫。(プロフ) - 弓矢さん» 最初はホラーと恋愛の混合が難しく、挫折しそうになりましたがそう言っていただけて本当に最後まで書き続けてよかったなと思います。しばらく更新の予定はないですが、どこかで番外編など書けたら楽しそうだなとは思います。その時はまた、読んでいただけると幸いです。 (2022年1月10日 20時) (レス) id: 91126b09d4 (このIDを非表示/違反報告)
弓矢(プロフ) - みんなかわいくて素敵で好きです。私の少ない語彙だと上手く言えませんが、空気感も好みで尚且つそれが直に伝わる様で読んでてとてもゾクゾクしました。最後の方もゾクゾクしつつも一周回ってワクワクしながら読み進めました。とても面白かったです。有難うございます。 (2022年1月8日 8時) (レス) @page50 id: 8d1caf834f (このIDを非表示/違反報告)
@眠猫。(プロフ) - 李白さん» 初めまして。この度は数ある作品の中から私の作品を読んでいただき、ありがとうございます。完結して2か月ほど経ちましたが、まだこのような言葉を頂けることに感無量です。お時間ありましたら是非、また覗いてやってください。またどこかで会えますように。 (2022年1月2日 20時) (レス) id: 91126b09d4 (このIDを非表示/違反報告)
李白 - 初めまして。作品全て読みましたが解説を見て鳥肌が立ちました。最高です。この作品に出会えて良かったです (2022年1月1日 11時) (レス) id: 1cec622168 (このIDを非表示/違反報告)
@眠猫。(プロフ) - このはさん» 返信遅くなりました。この度は私の作品を読んでいただきありがとうございます。練りに練ったお話だったのでそう言っていただけるととても嬉しいです。またどこかで会えましたら、よろしくお願いします! (2021年11月16日 22時) (レス) id: 91126b09d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:@眠猫。 | 作成日時:2021年8月28日 17時