僕のことを忘れないで ページ32
クラスTシャツが届いたらしい。段ボールを囲んではしゃぐクラスメイトを見守る。
「はい、Aの分」
友人から渡された青いシャツを広げる。今年は青団か。
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「Aやん」
『シャオロン君』
テンションがどうも上がらなくて教室を抜け出せば、トイレの前でシャオロン君とすれ違う。他のクラスもTシャツを配布しているのか、騒がしい声が聞こえるだけでここには誰も来なさそうだ。
視線を外せばシャオロン君は疑うような表情を見せた。
「まだ、他の人を気にしてるんか」
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「Aは、Aじゃないん?」
シャオロン君は、私にないものを持っている。怪奇現象に巻き込まれたといえど、初対面に近い私を庇えるだろうか。あの時、人体模型が歩いた時、確かにシャオロン君は私を庇うように抱きしめた。あの温もりは、シャオロン君にしかできないことだ。本当に、かっこいい。
なのに私は、いつも自分のことばかりを考えてる。コネシマ君やゾム君はそれでも笑って友達だと言ってくれるかもしれない。でも、私は最低だ。
女子たちの数の暴力は勝てない。でもだからといって、シャオロン君と一緒にいることが恥ずかしいなんて、思ってるはずないっ、
『友達じゃないわけじゃ、ない』
大切な友人の一人にいれてもいいだろうか。小さな声でつぶやく。シャオロン君は歯を見せて笑い、乱暴に頭を撫でてきたから正解だったのだろう。
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彼の赤いニット帽についてる豚のピンバッチが、笑った、気がした。
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@眠猫。(プロフ) - 弓矢さん» 最初はホラーと恋愛の混合が難しく、挫折しそうになりましたがそう言っていただけて本当に最後まで書き続けてよかったなと思います。しばらく更新の予定はないですが、どこかで番外編など書けたら楽しそうだなとは思います。その時はまた、読んでいただけると幸いです。 (2022年1月10日 20時) (レス) id: 91126b09d4 (このIDを非表示/違反報告)
弓矢(プロフ) - みんなかわいくて素敵で好きです。私の少ない語彙だと上手く言えませんが、空気感も好みで尚且つそれが直に伝わる様で読んでてとてもゾクゾクしました。最後の方もゾクゾクしつつも一周回ってワクワクしながら読み進めました。とても面白かったです。有難うございます。 (2022年1月8日 8時) (レス) @page50 id: 8d1caf834f (このIDを非表示/違反報告)
@眠猫。(プロフ) - 李白さん» 初めまして。この度は数ある作品の中から私の作品を読んでいただき、ありがとうございます。完結して2か月ほど経ちましたが、まだこのような言葉を頂けることに感無量です。お時間ありましたら是非、また覗いてやってください。またどこかで会えますように。 (2022年1月2日 20時) (レス) id: 91126b09d4 (このIDを非表示/違反報告)
李白 - 初めまして。作品全て読みましたが解説を見て鳥肌が立ちました。最高です。この作品に出会えて良かったです (2022年1月1日 11時) (レス) id: 1cec622168 (このIDを非表示/違反報告)
@眠猫。(プロフ) - このはさん» 返信遅くなりました。この度は私の作品を読んでいただきありがとうございます。練りに練ったお話だったのでそう言っていただけるととても嬉しいです。またどこかで会えましたら、よろしくお願いします! (2021年11月16日 22時) (レス) id: 91126b09d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:@眠猫。 | 作成日時:2021年8月28日 17時