君も死んで私も、 ページ13
死を目前に感じ、人はどれだけの全力を出せるのだろうか。恐怖に駆られる、呑み込まれる。逃げれる可能性など到底低いのに、それでも足を動かさないといけない。たった数％の賭けに乗るのだ。自分は、助かるのだと。
『走って！！！！！！！』
痙攣するまで足を動かせ。喉がつぶれてしまっても構わない。逃げ切れるなら、生き延びるためならなんだってする。
その賭けに、負けるまで、ずっと。
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久々に踏み入れた旧校舎は暑かった。9月もそろそろ終わると言うのに、暑さは変わらない。もう一か月ほど、夏休みを取ってもよかったのでは思ってしまう。
お風呂に入っている時に、何度も振り返ってしまうあの現象が訪れる。自然と早足になり、意を決して図書室の扉を開ければ、緑、
「あれ、エミさんちゃうやん」
どこかで、見覚えが、
『…体操服も、緑のパーカーだった』
そうだ。今日の体育終わり、窓の外で見かけた彼だ。一方的に見かけただけだけど。
「この間、生徒会に来てた子や」
『そ、そうです』
必死に脳みそを動かすが、緑のパーカーなんて生徒会室にいただろうか。それを汲み取ったのか、彼は不機嫌そうに話を変えた。
「エミさんは？」
『エーミール先生職員会議だって。だから本棚の整理は明日に変更だって伝言貰ったの』
「なんやねんあいつ。折角来たのにー」
『あとこの本預かったんだけど、どうしたらいい？』
西日が、出てきた。もうすぐ夜の出番だ。その間に旧校舎を出たい。
「せや、お話しようや！」
早く、出たいのに。
『わ、私すぐに帰らなきゃ、』
「えー…。じゃぁ、昨日グルッペンと何話したんかだけでも教えてや」
ゾム君は、女の子からよくモテる。よく食べる彼は、女子からの差し入れを笑顔で受け取り、人懐っこい笑顔を見せるからだ。強い力と強い口調。なのに綺麗好きで根は優しいと本当に人気だ。図書室で2人きりな所を、女子に見られたらこちらも大問題だ。
「じゃぁ一緒に帰ろ！」
『ゾム君…、』
昇降口で別れよう。とにかく今は旧校舎を出よう。エーミール先生から預かった本を乱雑に置いたゾム君に手を引かれ、図書室の扉を開けたとき、
「あれ、まだ残っとったんか？」
「おっ、シッマ」
金髪。空色の瞳。空に一番近い君、
・
「もう暗なるから送るで？ A」
・
違う。誰だ、この人、
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@眠猫。(プロフ) - 弓矢さん» 最初はホラーと恋愛の混合が難しく、挫折しそうになりましたがそう言っていただけて本当に最後まで書き続けてよかったなと思います。しばらく更新の予定はないですが、どこかで番外編など書けたら楽しそうだなとは思います。その時はまた、読んでいただけると幸いです。 (2022年1月10日 20時) (
レス) id: 91126b09d4 (このIDを非表示/違反報告)
弓矢(プロフ) - みんなかわいくて素敵で好きです。私の少ない語彙だと上手く言えませんが、空気感も好みで尚且つそれが直に伝わる様で読んでてとてもゾクゾクしました。最後の方もゾクゾクしつつも一周回ってワクワクしながら読み進めました。とても面白かったです。有難うございます。 (2022年1月8日 8時) (レス) @page50 id: 8d1caf834f (このIDを非表示/違反報告)
@眠猫。(プロフ) - 李白さん» 初めまして。この度は数ある作品の中から私の作品を読んでいただき、ありがとうございます。完結して2か月ほど経ちましたが、まだこのような言葉を頂けることに感無量です。お時間ありましたら是非、また覗いてやってください。またどこかで会えますように。 (2022年1月2日 20時) (レス) id: 91126b09d4 (このIDを非表示/違反報告)
李白 - 初めまして。作品全て読みましたが解説を見て鳥肌が立ちました。最高です。この作品に出会えて良かったです (2022年1月1日 11時) (レス) id: 1cec622168 (このIDを非表示/違反報告)
@眠猫。(プロフ) - このはさん» 返信遅くなりました。この度は私の作品を読んでいただきありがとうございます。練りに練ったお話だったのでそう言っていただけるととても嬉しいです。またどこかで会えましたら、よろしくお願いします！ (2021年11月16日 22時) (レス) id: 91126b09d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：@眠猫。 | 作成日時：2021年8月28日 17時
