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「真人？」
不審に思い、真人に呼びかけたとき、私は真人が体を震わせていることに気がついた。
「ふ、ふふふふ。あはははは！！」
真人は突然大声で笑い出した。それに驚いて身を固くしていると、真人は私を後ろから強く強く抱きしめた。
「ああ、本当に本当に嬉しいよ、A！！君とこの先、十年二十年、そのさらにずっとずっと先だって、一緒にいられるなんて、夢みたいだ。」
私に擦り寄る様はまるで子供のようだ。けれどその裏にあるどす黒い感情に私は体の熱がさめ、冷たい汗が背中を伝っているのを感じた。
「もう死ですら俺たちを引き裂けない。俺たちの魂は肉体を失った後も世界を廻り続ける。」
真人は私の頰に触れた。その手つきは私が彼と初めて対峙した日と同じ手つきだった。
「絶対に、君を誰にも渡さないよ。」
そう言って真人は私に深くキスをした。
その瞬間、私は喉の奥に何かを強制的に流し込まれている感覚に襲われた。
「っ！」
条件反射で吐き出そうとするが、真人がそれを許さない。真人は私の顎を持ち上げ、無理やりそれを嚥下させた。
どろどろと濃い何かが私の中に流し込まれる。頭の中で火花のようなものが無数にはじけていく。その火花が弾けるたび、私の中に知らない映像が流れ込んできた。
知らない地下の風景、知らない少年の顔、黒い袈裟をきた男、見たこともない映画のワンシーンと本の１ページ。
ああ、これは真人の記憶だ。それを理解して私は目を固く閉じた。目の淵に溜められた涙は重力に従って下へと落ちていった。
次に息をしたとき、もう真人はどこにもいなかった。私は激しく咳き込み、えづいた。
肩で息をし、下を向く。
「……真人。」
私は呪いの名前を口にした。
想像以上だった。私はこいつの執着心を侮っていた。こいつは、私に奴の魂を飲み込ませたんだ。それはつまり、私が死ねばこいつも死ぬと言うこと。
この呪霊は、それでもいいと思えるほど私に執着していたんだ。
「……やっぱり、それは恋じゃありませんよ。」
カラカラの声で私は喘いだ。
「恋と呼ぶには、あまりにもおぞましい。」
私に返事をするように、心臓はドクン、ドクンとゆっくりと動き出した。
続く (更新停止中)
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しょーどくえき - わ！すっごくおもしろいです！続きがとても楽しみです！頑張ってくださいね！ (2021年6月20日 16時) (
レス) id: 5790125387 (このIDを非表示/違反報告)
猫かぶり - 今は死滅回遊ですよ!!!続きがとても楽しみです!!! (2021年5月21日 20時) (レス) id: 94bc23990d (このIDを非表示/違反報告)
柑橘(プロフ) - 無気力なおバカさん» コメントありがとうございます！この展開は読者様には不評かも、なんて考えている折だったので、これからの展開が楽しみというお言葉に救われました！更新頑張ります。 (2021年1月2日 23時) (レス) id: c6d1d3b3eb (このIDを非表示/違反報告)
柑橘(プロフ) - 糸野さん» コメントありがとうございます！スリルのあるなんて素敵な言葉をいただけて嬉しいです。更新が滞っていますがこれからもドキドキさせられるよう頑張ります！ (2021年1月2日 23時) (レス) id: c6d1d3b3eb (このIDを非表示/違反報告)
無気力なおバカ - 面白いです。これからの展開がすごく楽しみです。キャラ達の関係とかもすごく好みです。更新頑張って下さい！ (2021年1月2日 3時) (レス) id: 9900cccf42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柑橘 | 作成日時：2020年11月28日 17時
