104 黒尾side ページ11
俺の数歩前には、右足のかかとを上げて不自然に歩く北。
そしてそれを支える百瀬がいた。
北「……離せ、自分で歩ける」
北が顔を歪めて百瀬の手を振り払う。
保健室まで、あと数メートルだ。
五色「ケガですか?」
『足裏に、画鋲刺さった』
瀬見「うっわ、…マジだ。気を付けろよ」
たまたま通路にいた白鳥沢の二人が声をかけてくるが…何となく察しているのだろう、二人は百瀬を軽く睨んでいる。
丁度器具庫から出てきた木葉と赤葦も同様、驚いているようだ。
…ウチの体育館に画鋲なんてどこにも置いてないよな?と木葉。赤葦がええと頷いた。
_事の発端は数分前。
『…お?何してんの』
百瀬「…っ!?
く、黒尾さんっ…びっくりしたやないですか〜!」
百瀬が校舎の入り口、つまり体育館から離れた場所で座り込んでいるのを見つけた。
百瀬の担当である烏野は今、丁度本日最後の試合中。青城とのゲームもそろそろ終わりに近づいている。
そんな時にマネが抜け出して何をしているのかと思えば。
『……それ茜のシューズだろ?あいつのものに近づくの、やめた方がいいと思うぞ』
百瀬が茜のものらしきシューズの近くに座っていたので、
ニコッ!!と今俺の出せる最高のスマイルをお見舞いした。
百瀬「…はいっ、そうですよね…心配してくれてありがとうございますっ!」
お??脅しのつもりで言ったんだけど…
どうやら研磨に聞いた通り本当に頭が弱いらしい。
…てか、
百瀬「じゃ、じゃあ私、失礼します!」
『っあ百瀬!』
咄嗟に呼び止めたら、「のどかでええって言ったやないですかぁ」って上目遣いで言われた。ウ”ッ。見た目は可愛いのに嫌悪感ハンパねえ。
…てか。横に白鳥沢の奴らのものもあるけど、
茜のシューズがここにあるってことは、この先に茜がいるってことだ。
百瀬と茜を近づけないように研磨に言われてるから、
『ちょっと頼みたいんだけどさ、体育館にある俺のタオル、取ってきてくんねえ?』
百瀬「?いいですよっ!ちょっと待っててくださいね?」
一時的にだが百瀬を体育館の方に戻らせた。どうも、出来る男・黒尾鉄朗です。
…あいつ…ここで何してたんだ?
北「おう、黒尾か」
『うおっ!?…ビビった…お前も試合終わり?』
北「おん」
で、後ろから北が声かけてきた…んだけど。
1017人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ささくれ - すいません文字数の問題と補足?を…! こんなに感情移入したの初めてです!ほんとにありがとうございます!長文失礼しました! (3月15日 17時) (レス) id: accd3cfdde (このIDを非表示/違反報告)
ささくれ - 読み出すと止まらなくて最後まで一気に読んでしまいました…! 茜くん可愛い…優しい…と思いながら私はやっぱり百瀬(さん)の事が許せなくて、でも最後に「謝れたら」って思ってるどこまでも優しすぎる茜くんに泣きました…… こんな凄い感動作をありがとうございます! (3月15日 17時) (レス) @page38 id: accd3cfdde (このIDを非表示/違反報告)
春千瑠 - 一気読みさせていただきました!afterstoryまで完璧過ぎました……超絶面白かったです❗ (2022年12月4日 22時) (レス) @page38 id: 6c259301f0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきと - 角名は、関西弁じゃないですよ(・∀・) (2022年8月9日 4時) (レス) @page14 id: 383073ea28 (このIDを非表示/違反報告)
かまぼこ - むちゃくちゃ面白かったです!! (2022年8月3日 17時) (レス) @page38 id: ed83340cb6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:蟹江 | 作成日時:2020年7月12日 11時