バニラ **** ページ4
流星
解熱鎮痛剤と抗生剤がかなり効いたみたいで、数時間眠れたしげ。
「 お、けっこう下がったな。少しは楽？」
熱も38.7℃。
いや、まだ高いしこれで下がったなんておれも麻痺ってんなとは思うけど、ピークより2度も下がればましやろ。
「 ん、 しんどくなくなった …」
「すごいぼーっとしとんなぁ。眠い？」
「 眠ない 、 ん やっぱねむいかも 、わからへん … 」
どこも痛くないって言うけど薬が強いからやろうし、
ぼーっとして 、受け答えはあいまい。
「 あきと 、」
「ん、なに？」
「 んーん …なんもない 、」
「おぉ。笑」
ふわっふわしてるくせに、絡みたがりは健在なんやろうか、
小さい声でずっと照史に話しかけてる 。笑
「ほら、寝れそうなうちに寝や？」
布団の上からさすってやると 、やっぱり身体は正直で、
熱のせいで潤んだ目はどんどん閉じてった。
「 嫌や、喉痛いもん 、食べられへん」
「せやかて、食べへんとよくならんやろ？」
「 やって、きもちわるくなるんやもんー 、」
あれから4日。
動けないほどとはいかないものの、38度台の熱が下がらへんしげ。
なかなか良くならない体調にしげ自身も、
たぶんだいぶ参って グズグズ。
体力落ちてるはずやしここ数日でかなり痩けてしまった。
食欲無いのはわかるんやけど、やっぱりちょっとでも食べてほしいやん。
「 ……… バニラ 、」
「へ？」
「 バニラのアイスなら、たべたい 」
「 もう、またそれやで。」
あの熱がいちばん高かった日に食べたアイスが忘れられないらしく、
もうほんま、アイスしか食べへんねん、こいつ。
もっと栄養あるもん食べてほしいんが本音やけど。
「よう飽きひんね、」
うれしそうにアイスを口にするしげをぼーっと見ながら言う。
「おれな、アイス考えた人 天才やとおもうねん」
「そりゃ思うやろ、しげのライフラインやもん。」
「 ふふ、」
いや、照れるとこちゃうし。
ゆるゆるなしげの雰囲気も好きやけどさ 、
やっぱりもっと元気なしげがええ。
それでも昨日より今日のほうが表情がいい。
もうちょっとかな 。
早ういっしょに仕事しようや 。
end
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作者名：こゆ | 作成日時：2018年3月20日 8時
