バニラ *** ページ3
照史
しげが体調崩したのはマネージャーからの連絡で知った。
今看病してくれとる流星に手伝い必要か聞いたら 、
おつかい頼まれてしげんちへ。
ずっと流星が付きっきりでいなきゃならへんほど、
高熱で 続けて寝られへんらしい。
「 っ 、んん… ぅ、 」
「 んーーー、しんどいなぁ。代わってやりたいわ………」
今しげは俺の腕の中で唸っとる。
うとうとしたと思ったら咳で起きたり 、
頭痛をどうにかしようと俺の胸に頭ぐりぐり押しつけてきたり 、
なによりこんな熱いの人間の体温ちゃうとおもう。
いつものしげからは想像できひんくらい弱ってて 、
見てられへんわ。
「おまたせ。買ってきてもらってあれやけど照史どれがいい？」
「アイス？んーじゃあおれチョコにしようかな。」
「んーじゃあ俺は抹茶かな。しげはバニラな。」
そういってカップアイスの蓋をあけてスプーンを指してくれる。
何となく流星がしたいことが分かって、おれも片方の手でアイスを食べた。
「ん〜〜！うま〜！久々に食べたけど美味いなぁ！」
「ほんまや、かみちゃんも呼んだげればよかったなぁ。笑」
流星がバニラをすくってしげの口にもってくる。
いっしょに食べへん？って聞くと 、
おそるおそるやけど小さく口が開いた。
「 ん、おいし…」
「 おっ、食べれるやん！冷たくてうまいやろ！」
しんどそうな顔は変わらんけど
ちょっと表情が和らいだ気いする。
「まだ食べれそう？ ん 、はい 」
ゆっくり口の中で溶かして飲み込んでいく姿があどけなくて、
赤ちゃんみたいや。
熱で口の中も熱いやろうから、気持ちいいんやろな。
「 ん？もういらん？ うん、よう食べたな」
半分くらいいったとこでストップしてしまったけど、
熱出てからほぼ何も食べれてないって聞いてたし 、上出来やろ。
薬は？って流星に聞いたら 、途中でアイスに混ぜたからもう飲み終わってるらしい。
「 流星、さすがやな」
「 やろー。」
ちょっと自慢げやし。笑
薬が入ったからか、少ししたらやっと眠ってくれて。
「ちょっと寝れそうやね。」
「うん、顔つきがちがう。」
流星もホッとした顔してる。
そりゃそうやな、こんな状態のしげずっと見とってくれたんやから。
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作者名：こゆ | 作成日時：2018年3月20日 8時
