第6話 ページ8
という訳で急遽ガラル地方へとやって来たA。
別れの余韻に浸るまもなくガラルへひとっ飛びした現在はシュートシティにあるホテルに滞在中だ。
なぜこうなったかと言えば、仕事の都合で急遽ガラル地方への出張が決まったらしい。ノボリもクダリも旅に出てしまい、家の中で1人寂しい思いをするであろうAをこの際連れて行こうという話になり今に至る。因みに母親はイッシュの家にいる。こちらもこちらで仕事がある為と、ノボリとクダリがいつ家に帰ってきてもいい様にだ。
「さっきからノボリとクダリからの電話が止まない……」
シュートシティの街中を探索していた2人だったが、止まない双子からの電話を受け父親がちょっと待っててねと顔を青くしながらその場から離れる。息子によってタジタジになる情けない姿は見せたくない。
手持ち無沙汰になってしまったAは何をするでもなく空を見上げ、街を眺めた。ライモンシティもそれなりに活気ある街だと思っていたが、シュートシティは非常に大きく活気に溢れていた。兄達とも来たかったなぁと俯けば、足元に見慣れないポケモンが。
『?』
すりすりと寄ってくる白黒のフサフサしたポケモン。見たことないなぁとしゃがみこみ興味津々でそのポケモンをそっと撫でる。するとそのポケモンは嬉しそうにぐむぐむと鳴いた。
『よしよし』
撫でて撫でて!と言うかのようにコロンとお腹を見せる白黒のポケモンに笑いながら言われるがままお腹を撫でる。街中のポケモンだから人馴れしているのだろうか?
「ジグザグマ!」
「ぐむっ!?」
恐らくこのポケモンの名前だろう言葉を耳にした足元に転がっているポケモンはヤベッ、という顔をしながら立ち上がる。
「おれのそばからはなれるなと言ったでしょう」
こちらに駆けてきたのはこのポケモンのトレーナーであろうポケモンと似たような白黒の頭をした少年だった。
Aの元にいるジグザグマを睨み、次いでAの顔を見て申し訳なさそうに眉を下げた。
「ごめん、おれのジグザグマがめいわくかけたね」
少年の言葉にブンブンと首を振る。
『ううんぜんぜん。かわいいねこの子、ジグザグマ?っていうの?』
「うん。ジグザグマ見たことないの?」
こくりと頷くAに少年は目を丸くする。
『わたしイッシュ地方から来たから』
「とおいとこから来ましたね。ガラルじゃそこらへんにいるよ」
『そうなんだ!えっとね、わたしA!』
「おれはネズっていいます」
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作者名:黒梨 | 作成日時:2023年5月16日 22時