第5話 ページ7
さて、そんなプルリル事件から1年程が経ち、ノボリ、クダリはいよいよ旅立ちの日がやってきた。
あの件から今まで以上にAにベッタリだった2人が大人しく旅に出るのだろうかと半ば心配をしていたが、意外にも2人はあっさりと旅立った。
ノボリ「では行ってまいりますね」
クダリ「こまめに電話するからね」
『うん……』
生まれてきてからずっと一緒だった兄達と離れ離れになるのはやはり寂しかった。
しょんぼりとした顔で家の前で見送りに出たAに双子は心臓が鷲掴みにされたような感覚を覚えグッと言葉を詰まらせる。
自分達もAと離れるのは凄く寂しいし、出来ることなら離れたくない。
しかしこの旅はきっと自分を強くする。沢山のことを学んで、ポケモン達と一緒に成長できるチャンスなのだと2人は考えていた。
クダリ「大丈夫。ぼく達ぜったい強くなって帰ってくる」
ノボリ「はい。帰ったら、たくさん旅のお話を聞かせましょう」
『わかった……兄さん、気をつけてね』
「「うん/はい」」
お互いにぎゅっと抱き締め合い、Aは2人の姿が見えなくなるまで手を振り続けた。
泣かないように、笑顔で彼等を旅路に送り出したのだ。
───
「行っちゃったねぇ」
『……かえってくるよね?』
「それは絶対大丈夫」
多分イッシュ地方が真っ二つに裂けても帰って来るだろうと娘の不安に即レスする位にはノボリとクダリの妹への執着が凄まじいモノだと両親は理解していた。
妹にベッタリくっついて旅に出ないとか妹も旅立てる年齢になってからじゃなきゃ行かないとか言いそうだったのに、名残惜しそうではあったが旅立って行ったことには驚いた。……まぁ2人共ポケモンバトル好きだから旅に出るの楽しみではあったんだろうなと、父と母はそう思うことにした。息子達の瞳の奥に揺れるクソデカ感情に見て見ぬふりをして。
「さて、じゃあAも行こうか」
『?どこに』
「どこって、ガラル」
『は??』
──────
A…
兄達がいないの寂しいな……とかセンチメンタルしてる間もなくガラルに行ってきます。
▲…
寂しいですがこれも妹を守る強い兄になる為…!と涙を飲んで旅立つ。でも大好きなポケモンバトルが遂にできるとワクワクしてる。
は?ガラル??
▽…
旅立つ前夜いつも以上にAに引っ付いて寝てた。寂しい。でも強くなりたいしポケモンバトルしたい!ドキドキと寂しい感情で忙しい。
父さんどうゆうこと??
父…
息子からの鬼電がヤバい
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作者名:黒梨 | 作成日時:2023年5月16日 22時