命短シ、羽バタケ乙女 (ページ5)

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第3話ページ5

中々見つからないなとノボリ、クダリ達は潜っては辺りを見回していた。ふと、Aは見つけられただろうかとキョロキョロと海面を見渡す。

ポツンと、すぐ側に浮き輪が流れてきていた。
そこにAの姿は無い。

｢｢A？｣｣

いつもであれば｢兄さん｣と返事をするAの声が聞こえる筈なのに、彼等の耳に届いたのは波の音と他の観光客の声だけだった。

サッと血の気が引いた2人は浮き輪が流れてきた方へ、消えてしまったAを血眼になって探した。
幸いな事にすぐにAを見つける事が出来たが、状況は最悪だった。
恐らくポケモンであろう2体の生き物に捕まってしまっているせいでAはどんどん浅瀬を離れ沈んでいく。

2人で何とかAの手を掴み引っ張りあげようとするが水中では踏ん張りが効かない。そもそもこの生き物がポケモンだとしたら子供2人の力などで対抗出来る訳がなかった。

このままではどうしようもないと、ノボリはクダリに助けを呼ぶように伝え、自身はAの手を離さず抵抗を続けた。
軽いパニックになっていたものの、何とかクダリは声を振り絞り大声で手当り次第助けを呼んだ。

すぐさまライフガードがポケモンに乗ってこちらまで駆けつける。クダリの泣きながらの拙い説明でもすぐに状況を理解した彼はポケモンに指示を出し、自身はノボリとクダリを海面に上げ浜辺に戻した。まだ妹がと焦る2人を宥めていれば、彼のポケモンがAを乗せ海面に浮上し、こちらに戻ってきた。

わあわあと泣きながらAに駆け寄る2人を両親に止めてもらい、4人が顔を真っ青にして見守る中、ライフガードの彼はAの容態を確認する。
何度か声を掛けると僅かに目を開くA。意識が戻り咳き込む姿に一同は良かったと胸を撫で下ろした。

タオルで彼女の身体を包み、どこか具合が悪い所はないかと尋ねれば身体が何となく痺れていると言う。
念の為病院へとそのままAは救急搬送された。母親がA
に同行し、残った3人に彼は今回の原因について説明した。

Aを攫おうとしたのはプルリルというふゆうポケモンだった。プルリルは海で泳いでいるポケモン等を捕まえ海底に引きずり込むという中々に恐ろしい習性を持っている。しかもその触手には毒針が付いており、掴まれたモノはその毒によって痺れ、抵抗出来なくなるという。