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第29話 ページ31

「すげーな、オマエの友だち」

表彰台にてアーマーガアと共にトロフィーを持ちながら撮影に応じているAの姿を遠目で見ながら、少年は感嘆の息を漏らしポツリと呟いた。

ネズ「信じてましたけど正直、オレもおどろいてますよ」

だってまさか本当に有言実行するとは。
しかも聞くところによればエントリーした時は飛行レース自体知らなかったという。過去のレースさえ見た事ない彼女が、アウェイの地で初参加優勝を収めてしまうとは。

アーマーガアも勿論凄まじいと思うが、何よりあれだけ激しい飛行で顔色一つ変えないAが大物すぎる。

ネズ「はじめて会った時の印象からは想像もつかねぇな(ボソッ」

「?なんて?」

ネズ「なんでもねーです」

「?……あっ」

少年が目を丸くして見ている方を見れば、撮影が終わったのかAがこちらに歩いて来ていた。

ネズ「おめでとう、あとおつかれ」

『ありがとうネズくん!あ、そっちの子はネズくんの友達?』

ネズ「……いや友だちじゃないですね、知らん人です」

「オイ知らん人って」

ネズ「知りませんよ、名前聞いてねーし」

「あれ?そういや言ってなかったか」

『?』

ネズ「コイツとはさっき会ったばかりなんですよ」

『そうなんだ。私はA、よろしくね』

ニコッと笑いながら手を差し出すAに少年はドギマギしながら、しかし動揺を悟られないようにぐっと手を握り返した。

「お、オレさまはキバナ!よろしくな。……あと、さっきのレースすごかった。オレさますっげーこうふんした!!あのアーマーガアすっげぇ速いし、ぇと、Aもあんだけスピード出てんのにぜんぜんこわがんねぇのすげぇよ!!」

怒涛の勢いで捲し立てるキバナに圧倒されポカン、と一瞬呆けるも、すぐににぱっと笑うAと、若干呆れ顔のネズ。

『へへ、そう言ってくれるの嬉しい!ありがとう!!』

満面の笑みでそう返されたキバナはおぅ、とか、うん、とか照れ気味にモゴモゴと返事をした。

『あ、私もう行かなきゃ。カブさんがきっと待ってる』

ネズ「そういえば来てないんですね」

『うん、レースの影響で街のパトロールとか整備あるらしくて。レースが終わったらジムで待ってるよって言ってたの』

ネズ「なら早く行きな。きっとA本人の口からレースの結果聞きたいだろうしね」

『うん、じゃあねネズくん!キバナくん!』

手をブンブンと振り、大荷物を持ってAは2人に別れを告げカブの元へと走った。

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作者名:黒梨 | 作成日時:2023年5月16日 22時

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