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第25話 ページ27

クダリ「ゔ〜……A〜……」

ノボリ「……Aは元気にしているでしょうか」


日課となっているダブルバトル、シングルバトルを終えクダリはごろりと芝の上に転がり、ノボリはぼんやりと空を見上げる。
Aが家出してから2人に覇気がない。勿論毎日バトルは楽しいし戦略を極める事に余念は無い。
しかしそれでも、あんな形で旅立ってしまった妹が心配で仕方が無いし、何より謝罪の言葉も言えていない事に心はずっと晴れないままだ。

Aがあんなに大泣きするのは初めて見たし、それこそ自分達に対して嫌いなんて言葉は言ったことがなかったから驚いた。
大嫌いと言われた時はそれはもう悲しかった。けれど、何より辛かったのが自分達がAをあそこまで泣かせ傷つけたという事実だった。

両親からはAは現在ガラルのエンジンシティという所のポケモンセンターにお世話になっていて、その町のジムリーダーを務めているカブという男が一応様子を見ているらしい。
それも両親がAから聞いた訳ではなく、カブさんから聞かされたらしい。“今は家族と話したくない”と。そしてA自身も突然家出してしまって家族に迷惑をかけた、けれど旅には出たいから家には帰れないと何度も泣いていたことも。

その言葉にショックを受けたし2日は寝込んだ。
けれどこうなったのも自分達がやり過ぎたせいだという事は重々承知している。

……だから、自分達からはAに連絡はしないようにした。
今はそっとしておいた方が良いと両親から言われたし自分達もそれは理解している。これ以上、今のAを追い詰めたくはなかった。


ちゃんと自分達が笑って見送っていたら、今このAがいない時でも心穏やかでいられたのだろうか。


2人で本日何度目か分からない大きなため息を着いていると、柵の向こうからカミツレが大慌てで新聞を持って走って来ていた。

ノボリ「そんなに慌ててどうされました?」

カミツレ「ハァッハァ……まさかまだ見てないの!?」

クダリ「?何が」

カミツレ「これよ!!」

乱れた髪を直しもせず彼女はバッと今朝の新聞を2人の前に広げる。


新聞の見開きには先日行われた飛行レースガラル杯についての特集が。

【飛行レース史上最年少記録!!11歳にして空のチャンピオン!!】

そう書かれた大きな見出しの下には、アーマーガアと笑顔でトロフィーを持つ最愛の妹であるAが写っていた。


ノボリ/クダリ「「はあぁぁぁぁぁぁ!?!?!?!?」」

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作者名:黒梨 | 作成日時:2023年5月16日 22時

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