第19話 ページ21
所変わって、現在Aはエンジンシティジムに保護されていた。
「はい、熱いから気を付けてね」
Aを保護したここのジムリーダーを務めているカブという男からココアを手渡される。キュウコンとウインディに挟まれながら目元を真っ赤にしたAはお礼を言いちびちびとココアに口を付ける。
カブ「落ち着けたかな?」
『……(コクリ』
カブ「じゃあ、何があったのか教えてくれるかい?ゆっくりでいいから」
その言葉にAはぽつりぽつりとこれまでの経緯を話し始めた。
────
先程ワイルドエリアで見回りの最中に泣きべそをかいている少女を見つけたカブは、この子が一体どこの子なのか、ワイルドエリアで迷子になったのか、はたまたポケモンに襲われ怪我でもして動けなくなっているのか確かめる為、こちらを威嚇するアーマーガアをなんとか宥め、ここでは危険だからとエンジンシティまで連れて来た。
道中、唯一持っていたというトレーナーカードを見せてもらえばなんとイッシュ地方のトレーナーで、しかも最近登録したばかりのひよっこだった。
今年のジムチャレンジ登録者の中に彼女はいないし、一体なぜガラルのワイルドエリアに?と念の為ジュンサーさんの元に行こうとすれば、いやいやと首を振る少女。どうしてかと聞けば小さく家出した、と。
旅ではなく家出?と疑問に思いさらに詳しく聞こうとすればまたべそべそと泣き始めてしまう。
オロオロしているうちにモンスターボールからキュウコンとウィンディが出てきて少女に擦り寄りその暖かいモフモフの身体で彼女を宥めだした。
流石キュウコンくん!ウインディくん!と2匹のグッジョブな判断に助けられ、カブはひとまず落ち着いて話せるように、今日は既に閉めた自身のジムに連れて行くことにした。
そして今、Aという少女はここまで来た理由等をしゃくりを上げながらも全て話してくれた訳だが……
カブ「えっと……イッシュ地方からはるばるアーマーガアに乗って飛んできたんだね?」
『(頷く』
聞けば聞くほどとんでもねぇ話である。
家を飛び出したノリでイッシュからガラルに?しかも飛行機で数時間の距離をアーマーガアで??
Aの行動力にも驚いたし、何より先程のアーマーガアが恐ろしいほどタフな事に驚いた。
まぁAの説明によって何故ジュンサーさんの所に行きたくないか、等の理由は理解した。……しかしこのまま放置は出来ない。親御さんも、その兄も心配してるだろう。
97人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ポケットモンスター」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:黒梨 | 作成日時:2023年5月16日 22時