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第16話 ページ18

しかも可哀想な程にAのヒトモシとシビシラスは突然始まったダブルバトルに震えている。
シャンデラとシビルドンも“え?今からあのベビーちゃん達と戦うの?ご主人マジで言ってる??”と困惑気味にチラチラとノボリとクダリを見ている。

ノボリ「さぁA!弱くないと言うのなら全力でかかって来なさい!!」

正直ポケモン達よりもトレーナーである2人の方がヤル気に満ち満ちている。流石バトル廃人、面構えが違う。

クダリ「A!ほらバトルしよう!!」

しかしAは俯いたまま動かない。

ノボリ「どうしたのです?1人で旅に出るというのでしょう?」

クダリ「旅に出たらぼく達みたいなトレーナーいっぱいいる。だからA、まずぼく達を倒さないと」

とんでもないことを言うな。お前達のようなトレーナーがそうわんさかいてたまるか。あらぬ誤解を植え付けないで欲しい。
そもそも2人揃って高ランクトレーナーだろうが。ここでバトルもしたことが無い相手に勝負を挑むとか大人気なさすぎる。初心者狩りオーバーキルか。2人に倒されたジムリーダー達もあまりの大人気なさに泣いてるぞ。

「「A!!」」

ノボリ、クダリの呼び掛けにAは返事をせず、震える手でモンスターボールを掴み、ヒトモシとシビシラスを戻す。
諦めたか、とAを見た2人はギョッと固まる。




2人と同じグレーの目からは大粒の涙がボロボロと落ちていた。


『……ぃさんのばか』

「「え"」」

『にぃさんの、あほ……おたんこなす、ッあんぽんたん……!!』

ノボリ「な、な、なん」

クダリ「A……??」

キッと睨みつけるAに2人は先程の威勢は何処へやらビクッと肩を跳ねさせる。
ボタボタと次から次へと涙が溢れだしているが、その目はかつてないほど怒りに染まっていた。



兄譲りの、ありったけの声量で叫ぶ。





『兄さんなんて……だいっきらい!!』





こうしてその日、ライモンシティの局所に衝撃が走った。
その一言で、彼らの周りは氷点下最低値を叩きだし、辺にいたマメパトやハトーボー達が一斉に飛び立つ。

ノボリ「きっ……kkkkkkkk??????」


大嫌いと言われたノボリは言語能力が著しく下がり、


クダリ「!?!?!?!?」


大嫌いと言われたクダリの思考は処理落ちした。


大粒の涙を流しながらモンスターボールからアーマーガアを庭に出したAは兄達を振り返る事無く、その大きな背に乗りそのまま飛び去ってしまった。

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作者名:黒梨 | 作成日時:2023年5月16日 22時

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