検索窓
今日:9 hit、昨日:5 hit、合計:14,249 hit

第12話 ページ14

それから来る日も来る日も、Aは父親にねだりあの巣穴のアーマーガアの元へ訪れてはきのみを渡し、時折その背中に乗せてもらい空を飛ぶこともあった。

そんな1人と1匹の奇妙な交流も終わりが近づいている。



ネズ「あさってにはかえっちまうんですね……」
『うん。父さんのしごともなんとかおわったみたいでさ。ギアステーションにいつまでも居ないのもだめだから』
ネズ「……さびしくなりますね」
『……うん』

ガラルにいる間、度々スパイクタウンに訪れてはネズの家に行きポケモンについて話したり、時には2人でネズの案内の元ガラルの街を出かけたりもした。

この短い期間と言えど友達と言えるには十分な時を過した相手との別れはやはり寂しかった。

ネズ「親にいってくうこうまでみおくりにいくよ」
『ほんと?』
ネズ「ウソいってどうするんです」
『うれしい、ありがとネズくん』

にっこりと笑ってお礼を伝えるAにネズは照れたようにポリポリと頬をかく。

ネズ「べつに……。それよりA、アレはどうするんです」
『?』
ネズ「アーマーガアのことだよ」
『!……どうするって』
ネズ「つかまえないんですか?」
『つかまえるって……だってわたしポケモンもってないからつかまえようにも……』

モゴモゴと口ごもる様子に深いため息を着く。

ネズ「バトルしなくてもつかまえることはできるでしょ」
『で、でも……』
ネズ「ハァ……いいですか!」
『はっはい!!』
ネズ「ほうほうをきいてるんじゃなくて、オマエのきもちはどうなんです!?」
『えっ、きもち?』
ネズ「そうです。あのアーマーガアとまいにち会ってたんでしょう?それでAはどうおもったんです?」
『……』
ネズ「このままなにもしなかったら、ほかのトレーナーがあのアーマーガアをつかまえちまいますよ」
『!それはやだ……!』

あのアーマーガアが、他の誰かのポケモンになってしまうのが自分でも驚くくらい嫌だと思った。
我ながらすごく自分勝手な気持ちに苦笑する。

……自惚れだと思うし、すごく馬鹿みたいな話だけど、あのアーマーガアとは何か、運命を感じた。あの日、こうなる事が決まっていたような気がした。彼の背中に乗って空を飛んだ時、きっとこれが私の未来なんだと思った。

顔を上げたAの目に既に迷いは消えている。
そんな彼女の顔を見て、ネズは満足そうに笑う。

ネズ「で、どうするんです?」
『わたし、アーマーガアに会ってくる!!』

第13話→←第11話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (50 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
97人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:黒梨 | 作成日時:2023年5月16日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。