L.O.V.E

11 -side F ページ13

F side



玉森の言うように
【押してダメなら引いてみろ作戦】実行中‼


ここ最近はグループでの仕事の時は決まって誘っていた北山を誘わずに渉に声をかける

予約したお店のことを話している時もチラチラとこちらを見ている北山の方に視線を送ると視線が交わった

北山を誘わなくて良いのか聞いてくる渉に「今日は…いいかな…」と答えるとフッと視線を下げた北山

その顔はどことなく悲しそうに見えた




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「太輔、急に引き過ぎなんじゃないの？」



収録後、特に北山へ声をかける事なく楽屋を出てお店に来た
席に着くなり渉が呆れたようにため息を吐き
″みっちゃん悲しそうだったよ″と言葉を繋げた



「ホント、太輔は不器用だよ、あんな風に急に距離詰めて、直ぐに冷たくしたらみっちゃんだってどうしたらいいか分かんなくなっちゃうよ？」

「いや、まさか北山があんな顔するなんて思わなくて…」



北山にあんな顔をさせるつもりは無かった
口をぎゅっと結んで静かに目を伏せた北山の顔が切なくてつい目を逸らしてしまった



「折角、素直な気持ち伝えられたんだからさぁ、もう少しみっちゃんの気持ちも考えてあげなよ」

「北山は…俺の事どう思ってるのかなぁ…」

「みっちゃんに聞いてみた？」

「いや…聞いて…ない……」



北山も俺と同じ気持ちだと思ってた

いつも俺が躓いた時、手を差し伸べて支えてくれたのは北山で
背中合わせの関係だって周りは言うけれど
長い間歩幅を合わせて一緒に歩いて来たのは北山以外の誰でもなくて
隣にいて欲しいのも
背中を安心して預けられるのも北山だけなのに


気持ちを伝えた時
北山も同じ気持ちだって応えてくれると思ったのに



″お前本気で言ってんの？俺、男だぞ″



その言葉が俺を臆病にするんだ
北山も同じ気持ちでしょ？
そう言えれば良かったのに


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