L.O.V.E

9 -side Ki ページ11

Ki side




藤ヶ谷の告白から１ヶ月が経った


仕事が一緒の日はご飯に誘われたり
一緒に帰ろうと積極的に声をかけてくれていたけれど
なんとか理由を付けて断って来た


正直、二人きりでご飯なんて何年も行ってないし何を話したらいいのかどんな風にしていたらいいのかすら分からない

ましてや何年も藤ヶ谷と食事なんてしていない俺は仕事以外で藤ヶ谷に対しての免疫が全くと言っていい程ないから目の前に藤ヶ谷がいて食事が喉を通るとは到底思えない

どうしても素直に行くと返事が出来なかった


何度も断っていると、声の掛かる頻度が明らかに減ってきて
ほら、今日も……



「渉、この前気になってるって言ってたお店予約出来たから行こうよ」

「予約取れたんだ！ありがとう…
でも太輔、今日は…いいの……？」



横尾さんが俺の方をチラチラと見ながら藤ヶ谷に話している

きっと俺と一緒の仕事なのに、俺を誘わなくてもいいのかと言う事だと思う



「あぁ….今日はいいかな…」



藤ヶ谷もチラッとこちらを見るから視線が交わったけれど、まるで俺の事なんて視界に入っていなかったかの様に目を逸らされた


チクッと胸に棘が刺さったかのような痛みが走りもやもやとした黒い嫉妬にも似た感情が俺の胸をいっぱいにする


自分が勝手に避けて来たのに急に誘われなくなるとなんだか寂しいと思うなんて俺はなんて我儘なんだ
折角、藤ヶ谷が気持ちを素直に打ち明けてくれて前に進めると思ったのに

また目線すら合わなかったあの頃と同じように振り出しに戻ってしまった様な気がして胸が切なくなった



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