根が優しいから怖がる ページ43
「幼少期の経験と、幾度となく重ねられた愛する者の裏切り」
セシリアの言葉にドクンッと心臓が強く脈打つ。まるで、その言葉に思い当たる節があるかのように
"…どこに、行くの？,,
"見回りだ,,
"…そう,,
"…何か気になるのか？,,
"ううん、何でもないの。…気を付けて。いってらっしゃい,,
"ああ,,
小さく手を振る、純白のドレスを着たユーリに瓜二つの女が脳裏を過る。女の泣きそうな笑みが頭に浮かぶ度、胸が張り裂けそうなくらい痛む
「…ルティはね、秘密をたくさん抱えているわ。病気のこと。出自のこと。実の父との関係や失った国のこと。それら全てが、ルティに疑いの目を向けさせる要因になっていることは否めないわ。ルティ自身も、それはよく分かっている。だから、自分を責めるの。そうして、また病が悪化してしまう」
「あの…セシリア様、うつ病というのは完治しないのですか？」
マリーが心配そうに眉を下げてセシリアに尋ねる
「うつ病は完治しない。…と言ったら語弊が生まれるわね。でも、うつ病を完治させようとすると逆に症状が悪化してしまう可能性がある。だから、薬や人を頼りながら徐々に困憊した心や体を回復させるのよ。完治というより、共存を目指して行った方が良いわね。一度壊れてしまった信頼関係がすぐには元に戻らないのと同じく、困憊した心もすぐには回復しないわ。大体は原因となったものから離れて休養を取るのだけれど、さっきも言った通り、ルティの場合はそれが許されない状況にあるから中々回復させるのが難しいの」
エリザベスのことならなんだって分かる。彼女と過ごした時間はそれだけ長く、濃密だ。だが、ユーリは違う。オレと同じく秘密主義なところがあるユーリのことを、オレは何も知らない。ユーリの過去も、本心も、考えも、何一つ知らない。だから、エリザベスが傷つけられた時、安易にユーリを責めた。何も知らないから。何も分からないから。ユーリの信用を裏切った
「…ルティは、アドバイスはしても強制はしない。それは他人を護る為でもあり、自分自身を護る為でもあるわ。根が優しいから怖がるのよ、あの子は」
ふっ、と笑ったセシリアの微笑みは、子を見守る親のように慈愛に満ちていた
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pomme(りんご)(プロフ) - 瑠李さん» 返信ありがとうございます。また何かありましたらお教え頂けますと幸いです (2021年7月4日 20時) (
レス) id: cf9e4ba859 (このIDを非表示/違反報告)
瑠李(プロフ) - ありがとうございます！今読みました。これからも面白い小説頑張ってください！応援してます！ (2021年7月4日 19時) (レス) id: 88c711d3e6 (このIDを非表示/違反報告)
pomme(りんご)(プロフ) - 瑠李さん» コメントありがとうございます。今、消しましたのでご覧頂けると幸いです (2021年7月4日 19時) (レス) id: cf9e4ba859 (このIDを非表示/違反報告)
瑠李(プロフ) - 国王陛下の帰還が同じセリフがあります (2021年7月4日 19時) (レス) id: 88c711d3e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アストライアー | 作成日時：2021年7月3日 22時
