Devotion -Mandy.S- ページ12
【風邪ひいた】
そんな短い一文。
久しぶりに連絡がきたと思ったら、たったのそれだけ。
少しだけ腹が立つ。
それでも、現金な私はどこかで嬉しい、なんて思ったりもしているわけで。
野菜とスポーツドリンク、それから冷えピタと氷枕。
バッグに詰め込めるだけ詰めて、彼の家へ向かう。
忙しい彼の家へは、彼が気まぐれに呼んでくれる時にしか訪れない。
私からは連絡しない。
それが彼と付き合うときに決めたルール。
『私です。…A』
インターホンを鳴らしてそれだけを発すると、ロックが解除される音がした。
『お邪魔します』
彼の家は、身体の大きな彼に合わせたかのように広い。
ベッドで身体を縮こまらせている彼の背中にそっと触れると、ピクリと反応が返ってきた。
『熱、どれくらいですか』
「……38.2」
喉もやられているのか、彼の返事はほとんど弱々しい吐息のようなものだった。
『…高いですね。ご飯、食べれます?』
「…………少しなら」
『わかりました。今お粥作るんで待っててください』
持ってきた氷枕と冷えピタで処置をし、手早くお粥を作る。
メンディーさんは筋肉が多すぎてすぐ風邪をひく。
以前に比べたら頻度はだいぶ少なくなってるけど…風邪をひきやすいのは今も変わらないわけで。
…最近はバラエティにも引っ張りだこだから、疲れがたまって余計に風邪をひきやすくなってしまっているんじゃないかな。
『メンディーさん、できましたよ。起きれますか?』
声をかけるとモゾモゾと動き始めたから、背中を支えて起き上がらせる。
『野菜いっぱい入れたんで…栄養はこれで大丈夫です。あとはとにかく水分をとって寝てください』
蓮華にとったお粥を冷ましてメンディーさんの口に運びながらそう伝えると、メンディーさんは何度も頷いてくれる。
「ごめん、迷惑ばっかりかけて…」
身体に合わない小さな声での謝罪。
それも今はなんだか面白い。
『今更じゃないですか。メンディーさんなんて、いっつも迷惑ばっかりです』
少しからかうと、メンディーさんは申し訳なさそうに眉を下げた。
『…今度連絡する時は、デートのお誘いにしてくださいね?』
普段なら絶対しない私からのお願い。
メンディーさんは熱で潤んだ目をパチりと瞬いて、また何度も何度も頷いた。
尽くすのは慣れたけど…たまには我儘言うのも悪くはない、かな。
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ゆと(プロフ) - りあさん» コメントありがとうございます。大変失礼致しました。修正しました。 (2015年2月11日 17時) (レス) id: 05ad7016c2 (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - いきなりごめんなさい亜嵐のローマ字表記はALANですよ (2015年2月7日 11時) (レス) id: 601b6c9cb8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆと(プロフ) - さんさんめさん» コメントありがとうございます!きゅんきゅんしていただけて安心しました…!更新頑張っていきますのでお付き合いよろしくお願いします。 (2015年1月29日 19時) (レス) id: 05ad7016c2 (このIDを非表示/違反報告)
さんさんめ - めっさ きゅんきゅんします !! *\(*'ν'*)/* 更新岩張って下さい ! (2015年1月14日 22時) (レス) id: 240a59d6f9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆと(プロフ) - ゆうひさん» コメントありがとうございます!面白いと言っていただけて嬉しいです。更新頑張ります! (2015年1月9日 21時) (レス) id: 05ad7016c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆと | 作成日時:2014年11月19日 0時