カラフルボックス

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どれくらいそうしていたのだろう、1分足らずだったのかもしれないし、もっと長かかったのかもしれない。
ふとその子がこちらを向いた。
ヤベ…。ガン見してたのバレたか…。と少し焦ったけど、その子は俺を見たままフリーズ…。
良く良く見てみると、特徴的な赤いセルフレームの奥の猫みたいな大きな目が物凄い大きく開かれている。


「あの…」


思わず出してしまった声にその子は魔法が解けたかようにビクリと身体を震わせ、キョロキョロと辺りを見渡したかと思えば、パタパタとこちらに駆けて来た。
あ、目の前まで来ると意外と大きいな。
170以上ある？
ここに入れるのは許可をもらった関係者だけ。
という事はこの子もここを利用しているスポーツ選手なのだろうか。


「あの…、石川祐希選手ですよね？バレーボールの」

「え、あ、はい」


鈴を転がすような声ってこんな声を言うのだろうか、というくらい耳に心地良く、ストンと心に落ち着く声に鼓動が早くなる。


「私、この度バレーボール全日本女子に選出されました上条です。よろしくお願いします！」

「こちらこそよろしくお願いしま……全日本！？」

「ぇえ！？」


思わずデカくなってしまった声に、その子…上条さんも驚いたのかつられて声が大きくなったのに「ゴメン」と謝りつつ、頭を整理。

バレーって言ったよな？しかも全日本！？この子、全日本の選手なの？！


「えっと…、上条、さん、はいくつ？」

「17です。高校2年です」

「若っ！」


高校2年！？
確かに女子は宮下さんとかもっと若い15歳で代表登録されていた選手がいるけど、やっぱり高校生で代表登録って驚きだ。

余程と実力者なのかと記憶を辿ってみるけど、上条さんの姿はない。
中学、高校と俺が卒業したら上条さんが入学という形でかぶってないからだろうか？
いや、でも全日本に選出される程の選手なら話題になってるし、噂を耳にする筈なんだけど…。


「石川さん、どうかしましたか？」

「あ、ううん。ちょっと考え事。え〜と、頑張ってね？」

「ありがとうございます！」


頭を下げた時に揺らめく髪がキラキラしてて綺麗だとか、少し照れたはにかみ笑顔が可愛いとか、そう言えば下の名前を聞いてなかったとか、色々考えてしまった辺り。
俺はこの時、この子に一目惚れをしたのだろう。

あぁ、どうしよう




恋が始まる音がした。

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