3 ページ47
「世のファンの人達騙されてるよ!って声を大にして言いたい!あいつ性格最悪だよって!」
「あ」
私の後ろを見て声を上げたタカちゃんに、どうしたのかと振り返るより先に脳天からガッチリと掴まれた。
これは、知ってるぞ。この手は知ってるぞ。
「堂々と大声で先輩の悪口とは良い度胸だなぁ?A」
やっぱりユウキさん!
「タカちゃんもいました!」
「タカはフォローしてくれてたし」
「何処から聞いてたしっ!」
「“人としてはムカつくしかない”辺りから?」
「ほぼ最初からだし!」
盗み聴きいくない!と噛み付くけれど、聞かれて困る事を寮の玄関先で言うな、と言われてしまえばぐうの音も出ない。
だってタカちゃん寮暮らしだけど私は大学近くのアパートだし。
寮内に入れない訳じゃないけど、4人部屋だし。
ユウキさんの愚痴を言うためにわざわざファミレスとかコーヒーショップでお金使うのは何か癪だし。
「うん。ここにいるのもユウキさんのせい…って、イタタタッ!」
ギリギリと指に力が込められ痛みに呻いていると力が緩むどころか「どこまで耐えられるかなあ?」なんて楽しそうな声が聞こえて来て、冷や汗タラリ…。
「知ってるか?リンゴってコツを掴むと握力65キロくらいで潰せるんだってさ。俺、こないだ測っていくつだったっけなぁ」
「タカちゃんヘルプ!」
「この場合、俺じゃなくてユウキさんにヘルプ出した方が賢明だと思うよ」
「この人に慈悲なんて求めたくないってイデデデデッ!」
痛い痛い!ミシッていった!
でも、ユウキさんに助けを求めるなんてヤダ!
でも痛い!
結局、痛みとプライドの葛藤を暫く続けていたんだけど、タカちゃんは傍観者に徹しているし、ユウキさんは私がギブするまで続けるとかふざけた事言うし、ならギブなんてしない!と私は気合が入るし…で収拾が付かなくなっていたところで、私達の攻防戦を知らされてやって来た関田さんの「いい加減にしとけ」という鶴の一声で漸く収束を迎えたのだった…。
「あー、頭痛い…」
「あんなに粘るからだよ…」
「だってこっちからギブなんて悔しすぎる!」
ー
170人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
速水(プロフ) - ゆめさん» 嬉し過ぎるお言葉ありがとうございます!これからも楽しんでいただけるよう頑張ります! (2016年6月10日 23時) (レス) id: b15315e85f (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ - 速水さんの作品大好きです!特に、ヘタレ選手が好きなのです!これからも更新を楽しみに待ってます! (2016年6月10日 1時) (レス) id: 44f44b19a6 (このIDを非表示/違反報告)
速水(プロフ) - ? yu ?さん» 本当ですか!?ありがとうございます!嬉しすぎるお言葉です! (2016年6月9日 15時) (レス) id: b15315e85f (このIDを非表示/違反報告)
? yu ?(プロフ) - ハムスターのしつけ方 、すごいよかったです!連載化してほしいレベルです(´・_・`)笑 (2016年6月9日 14時) (レス) id: f79162b6f0 (このIDを非表示/違反報告)
速水(プロフ) - ゆらぎさん» 需要ありますか!?良かった!また思い付いたら受難シリーズも更新させて頂きます! (2016年1月27日 14時) (レス) id: b15315e85f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:速水 | 作成日時:2015年10月24日 1時