カラフルボックス

ハムスターのしつけ方(#8) ページ45

「おーもーいーでーすー！」

「頑張れ、頑張れ」

「ユウキさん！仕事の邪魔しないでくださいっ！」

「先輩に向かって生意気だなぁ？ん？」

「潰れる！潰れる！」


おっきな手に脳天からギュウギュウと押え付けられて、負けるかという根性よりも足が先にギブアップして尻もちベシャリ。


「何なんですか！もうっ！」


止めてください！と怒りを露わにする私にその人は、世のファンの女性達が見たら黄色い声をあげて頬を染めるような爽やかワンコの笑顔で「Aがいたからつい」とサラリ。


「ついじゃないですよ！」


この人の何処が爽やか！？何処がワンコ！？


「ただの性悪じゃん…」

「どの口が言ったのかなぁ？」

「んぶっ」


私の顔よりおっきな手の指が私の頬を容赦なく挟み込んで来る。


「アホ面〜」

「ちゅぶしゅ！」

「何だって？」


ニヤニヤと意地悪〜い顔が本当に腹立たしくて、上がダメなら下だと脛に蹴りを入れようとしたけれど、さすが一流選手と言うべきか、ヒョイとかわされ終了。
うぐ〜っと怒りと悔しさで震える私に、圧倒的ドヤ顔なユウキさんは、私がマネージャーをしているバレー部の先輩であり、ワールドカップカップを終えて今や全日本のエースとまで称される凄い選手だ。
凄い。確かに凄い。
高校時代２年連続３冠とか、公式戦99連勝とか、10代にしてイタリア留学とか経歴もえげつない。
バレー選手としてはもう本当に凄い。
それは諸手を挙げて素直に認める。

だけど…


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