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「ん〜…何が違うんだろう?」
俺の腰辺りに座り、首や肩や腕をスンスン嗅いでいる様はさながら犬だ。
「A、重い」
スパイカーとしてはかなり小柄ながら、鍛えているから重さはしっかりある。全体重を掛けられると結構クる。
何よりこの体勢がいただけない。何も知らない人が見たらあらぬ疑いを掛けられる事は必須だ。
ここは全日本の合宿で使っているホテルの俺とAの部屋だけど、鍵してないし、いつ誰が訪れるか分からないし、ケンタロウさんとかなんてノックとかなく遠慮なく入ってくるし。
「A」
「ん〜…」
「A!」
「もうちょっと〜」
強めに言ったって暖簾に腕押し。
今度はスーハーと何度も何度も俺の胸の辺りで深呼吸。
シャツ越しに感じる息に、ゾワワっと身体を走るのは間違っても快感では無く、悪寒だ。鳥肌だ。
「〜!A!良い加減に「そうかっ!」
言葉は最後まで言う事なく、Aが突如として身体を起こした事への驚きで飲み込んだ。
「分かった!柔軟剤にユウキの体臭が混ざらないとこの良い匂いにならないのか!」
「体臭って言われると、何か俺が臭そうだからヤメロ」
「違うよ。混ざり合ってこんな良い匂いになるって事はユウキ自身も良い匂いなんだよ!ねえねえ、今度服着てない状態で嗅がせてよ!」
目をキラキラさせてのとんでもない提案に、今日一番顔が引きつるのが分かった。
前言撤回。犬の方がよっぽど賢いわ。
こいつを犬としたら、犬に失礼だ。
「お前、そこまで行くと最早変態だぞ」
「探究心が旺盛と言ってよ」
「度が過ぎるのはいけません!」
「だって気になるんだもん!」
「とにかく!四の五の言わずに良いからさっさと退けっ!」
「嗅がせてくれるって約束してくれたら退く!」
「Aっ!」
コイツの匂いへの執着心は、凄いを通り越して怖いわ!
「あ〜…、もう洗剤と柔軟剤変えようかな…」
「ダメ!絶対!良い匂いなんだから変えちゃダメ!」
もうヤダ…コイツ…。
【end】
Hina様よりリクエスト頂きました、匂いフェチの主人公でした。
だんだん主人公が変態へ爆走して行きました…(ノд-`)
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速水(プロフ) - ゆめさん» 嬉し過ぎるお言葉ありがとうございます!これからも楽しんでいただけるよう頑張ります! (2016年6月10日 23時) (レス) id: b15315e85f (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ - 速水さんの作品大好きです!特に、ヘタレ選手が好きなのです!これからも更新を楽しみに待ってます! (2016年6月10日 1時) (レス) id: 44f44b19a6 (このIDを非表示/違反報告)
速水(プロフ) - ? yu ?さん» 本当ですか!?ありがとうございます!嬉しすぎるお言葉です! (2016年6月9日 15時) (レス) id: b15315e85f (このIDを非表示/違反報告)
? yu ?(プロフ) - ハムスターのしつけ方 、すごいよかったです!連載化してほしいレベルです(´・_・`)笑 (2016年6月9日 14時) (レス) id: f79162b6f0 (このIDを非表示/違反報告)
速水(プロフ) - ゆらぎさん» 需要ありますか!?良かった!また思い付いたら受難シリーズも更新させて頂きます! (2016年1月27日 14時) (レス) id: b15315e85f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:速水 | 作成日時:2015年10月24日 1時