カラフルボックス

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「何か違うんだけど！」

「何が？」

「お店に行って香りのサンプル嗅いで来たけどユウキと違う！」

「違う種類の嗅いだんじゃないのか？」

「ううん！合ってた！何度も確認したもん！」

「暇人か」

「何でだろう？何が違うんだろう？」


良い匂いだから自分も使いたいというAに、使っている洗剤と柔軟剤を教えたのが昨日の事。
それで今日の練習終わりにドラッグストアへ勇んで行ったらしいのだが、店のサンプルを嗅いでみたら匂いが違かったのだと言う。

同じ商品なら違う訳ないと思うんだけど…。
それを言っても「違かったもん」と噛み付かれて違いを力説されそうだから口のチャックを閉めておく。

こいつに匂いについて語られるととてもとても長くて、別に匂いフェチでも何でもない人間にはそれはそれは面倒臭いのだ。

その匂いフェチたるAはと言うと、しばし「う〜んう〜ん」と唸っていたかと思えば俺の柔軟剤と洗剤を持ち出して来て、ベッドに座る俺の隣に座って俺自身とその２つを比べるように何度も何度も往復して嗅ぎ出した。

その姿は……何か引く…。

何だコイツ。
顔が真剣過ぎだろ。

ここまで来ると匂いフェチっていうより、匂いに取り憑かれたみたいだな。


「……………やっぱり違う！」

「おわっ！？」


突如として押し倒され、尚且つ上にのし掛かって来たAに、思考の海に船出していた俺は目を白黒するしかない。

ハッと我に返って、Aが手にしていた筈の洗剤と柔軟剤がぶち撒けられてやしないかと危惧したがそこはちゃんと理性が残っていたようで、いつの間にか蓋がされてチョコンと並べられていたから、これについてはまあ一安心ってとこだろうか。


ー

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