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「…帰ろ」


人もまばらになった会場。
また離れてしまうという名残惜しさを残しつつも、やっと落ち着いた心を携えて立ち上がる。
試合直後は人で溢れかえるロビーも人はまばら。


「次はいつ来られるかなぁ」


なかなか会えないなんて織姫と彦星みたい。


「でも、片想いだから違うかぁ」


自分の頭に浮かんだ例えに自嘲する。


「ダメだ。さっさと帰…っ!?」


掴まれた腕。
引き込まれた部屋。


「何で…」


混乱する思考。
心臓がドキドキと五月蝿い。
自分が見ている光景が信じられない。

何で?
何でいるの?


「将洋…」

「会いたかった…A」


抱きしめられた瞬間、おさまっていた涙が溢れた。


「ずっとずっと会いたかった…A」

「将洋…」


私を呼ぶ声。
包まれたぬくもり。香り。
全部、全部、覚えている。


「客席で見付けた時、心臓止まるかと思った…」


"柳田さんさ…あんたを見付けたんじゃないかな"


「ぁ…」

「ここで帰してしまったら、もう会えない気がして…!」

「…」

「好きだった…!
今更って言われるかもしれないけど、ずっと好きだった!Aが好きだ」

「っ!」


どれだけ夢に見た言葉だろう。
その度に有り得ないと自嘲して来たのに。


「私も…私もずっと好きだった」


ちょっと照れ臭くて、それでも顔を上げて真っ直ぐ見据えて言ったけど、顔は涙でグシャグシャでとっても不細工だろう。
でも、私の涙を拭う将洋もボロボロと泣き笑い。

こんなベタな恋愛ドラマみたいな事本当に起きるんだね。
離れた分だけ私達の結び目は強くなった。
きっと、今の私達なら離れていたって大丈夫。




【end】

プロポーズ?!(#8)→←3



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速水(プロフ) - ゆめさん» 嬉し過ぎるお言葉ありがとうございます!これからも楽しんでいただけるよう頑張ります! (2016年6月10日 23時) (レス) id: b15315e85f (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ - 速水さんの作品大好きです!特に、ヘタレ選手が好きなのです!これからも更新を楽しみに待ってます! (2016年6月10日 1時) (レス) id: 44f44b19a6 (このIDを非表示/違反報告)
速水(プロフ) - ? yu ?さん» 本当ですか!?ありがとうございます!嬉しすぎるお言葉です! (2016年6月9日 15時) (レス) id: b15315e85f (このIDを非表示/違反報告)
? yu ?(プロフ) - ハムスターのしつけ方 、すごいよかったです!連載化してほしいレベルです(´・_・`)笑 (2016年6月9日 14時) (レス) id: f79162b6f0 (このIDを非表示/違反報告)
速水(プロフ) - ゆらぎさん» 需要ありますか!?良かった!また思い付いたら受難シリーズも更新させて頂きます! (2016年1月27日 14時) (レス) id: b15315e85f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:速水 | 作成日時:2015年10月24日 1時

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