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26-1 ページ47

A side

やってしまった。
私から、彼を求めた。
彼は何も悪くない。
腰に感じる鈍痛を見ないふりをして体を起こす。
それでも初めての痛みで、我慢ができず思わず顔を歪める。

どうしようもなく熱に浮かされた。
ヒートがあんなに怖いものなんて知らなかった。
護身用として渡されている即効性の抑制剤。
前回使った時は莉犬さんが打ってくれた。
使わざるを得ないことってあるんだ、と思ったけど、あんな注射、無意味なことを知った。
自分にヒートが起こったところで、あれを使う理性なんて残ってない。
首輪の鍵を持ち歩くなと言った莉犬さんの言葉、体験して理解した。

どうしようもなく欲しかった。
でも、誰でも良かったんじゃない。
さとみさんが欲しかった。
それだけは紛れもなく自覚してしまった事実だった。
本当は知ってた。
駅でヒートが起こった時、あの中に数人、アルファがいた。
私のフェロモンに当てられて、欲 情したオメガを探している匂いがした。
それでも私が欲しかった匂いはさとみさんだけだった。
自分以外のアルファが反応していることを察知したさとみさんが、ただでさえ苦しいのに、私を抱きかかえてくれたことも気付いていた。
だから、さとみさんなら、って思った。
それは、ヒートに浮かされただけの気持ちではなかった。

だからとはいえ、後悔してないわけじゃない。
こんなことになる前に、気付かなきゃいけなかった。
きっと彼は、今、目を覚ましたら私への罪悪感でいっぱいになる。

運命だとか恋だとか、バカバカしい。
私をこんなに優しく想ってくれる人がいる。
それだけでいいじゃないか。

頭がおかしくなって、理性なんてこれっぽっちも残っていなくてただただ彼を求めた私。
彼は違った。
崩れる理性の中で必死に私を傷つけないようにしてくれた。
最初、私を拒否したのはきっと、私がこうやって傷付くと思ったからでしょ?
少し意地悪だったけど、優しかった。
痛くないようにしてくれた。
無理矢理なんてしてこなかった。
それがどれだけ辛いことなのか、私にはわからない。
けど、ヒートのオメガを前にしたアルファに理性が残っていたのなら、世の中の悲しいニュースは確実に減っているはずだ。
私のことを思って、たくさん我慢してくれていたはずだ。

さとみさんならー・・・
いや、さとみさんがいい。

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作品ジャンル:恋愛
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夢花(プロフ) - フェロモン怖ぁ((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル (2021年4月11日 23時) (レス) id: 78d9e81099 (このIDを非表示/違反報告)
唯凛(プロフ) - りんさん» 確認ありがとうございます。私のわがままを押し付けるような形で申し訳ありません。ぜひ、ログインされました際にはご期待に添えていればなと願います。いただいたお時間無駄にしないよう少しでも楽しんでいただけたら幸いです。ありがとうございます。 (2021年4月11日 9時) (レス) id: 01cd285b43 (このIDを非表示/違反報告)
りん - 読ませて、いただきました。ご丁寧に有難うございます!ログインしてみようかなと考えています。他の作品も楽しみにしています!これからも、頑張ってください。m(_ _)m (2021年4月9日 1時) (レス) id: 8208016f57 (このIDを非表示/違反報告)
唯凛(プロフ) - まっちゃさん» お手数をおかけしてしまいまして申し訳ありません。私自身がまだあまりうらツクのシステムを理解しきれておりません故…。ページに入れた際には楽しんでいただけたら幸いです! (2021年4月8日 22時) (レス) id: 01cd285b43 (このIDを非表示/違反報告)
唯凛(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます!他作品まで読んでいただけて、とても嬉しいです。 続きページの件につきましては、コメントに収まり切らず、本ページ内でお話しさせていただいております。ご一読いただけますと幸いです。 (2021年4月8日 22時) (レス) id: 01cd285b43 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:唯凛 | 作成日時:2021年3月14日 22時

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