この運命は恋ですか？【桃】

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Satomi side

メンバーに問い詰められてる間にAちゃんはどこかに行ってしまった。
もっと話したかったのに。
適当にうるせぇうるせぇとメンバーをいなし、思わずため息をついた。


こ「で、本当にうちの可愛い妹に何したんですか？」


ほかのメンバーは何も言わない俺に諦めたのに、ころんはやけにニヤニヤしながら離れていってはくれなかった。


さ「…やっぱシスコンじゃん。」

こ「やっぱって何？シスコンじゃねーし。」

さ「Aちゃんがころんはシスコンじゃないけど自分はブラコンだって言ってたから。」

こ「アイツそんなこと言ったの？」


否定しながらも、Aちゃんのその言葉が嬉しそうなころん。
ぜってぇシスコンだろ。


さ「自分の妹のこと、可愛いって言うかなぁ？」

こ「可愛いでしょ？」


…まぁ実際可愛いんだけど。
意地悪したくなっちゃう可愛さ。
守ってあげたくなる可愛さ。
甘やかしたくなる可愛さ。
逃げられない、逃げようのない運命の相手。
俺の物っていう優越感。


こ「…さとみくんもるぅとくんもアルファだったんだね。」

さ「ん？見えない？」

こ「いや。てか言うたら僕の方が見えないでしょ。」

さ「そうか？」

こ「そうでしょ絶対。…2人のどっちかがAと番ってくれないかなぁ…。」


ぽつりと呟いたころんの言葉は聞き逃さなかった。


さ「え？」

こ「あ、いや、違くて…。ごめん。
Aヒート不順だし体弱いしでさ。変なタイミングでヒート来て、知りもしないアルファに強制的に番わされるくらいな、きちんと決めて早く番って欲しいんだけど、どんな人かもわからない人と番なんてさせたくないじゃん。アルファとオメガはお見合いとかで結ばれることが多いけど、でも実際、そうやって番ったオメガがどんなふうに扱われてるかとか分からないし…。俺たちの両親は幼馴染だったらしいから、そういうのあんまり無いんだけど…。」


世の中に未だ根強く残るオメガ差別。
アルファの中にはオメガを"モノ"としか見てない奴がいる。
ヒート期間でもないオメガが襲われる話も、年に数回は必ずと言っていいほど耳にする。


さ「…大事なのはAちゃんの気持ちでしょ。」


そう答えるしかなかった。

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