2話 ページ3
.
自己紹介を済ませて施設内の案内もしてもらったAはようやっと荷解きを終えてヘトヘトになっていた。
指定強化選手は明日からで見回りは今日の夜から。
本当はそれまで探索したいなとか思っていたけど、朝5時起きからの荷解きで、体は思ったより疲れていた。
ベッドの上に胡座をかいてボーッとしているとスマホの通知が鳴る。表示を見てAは思い出したように画面を操作して通知のあったメールからファイルを開いた。
内容は施設のマップ、プロジェクトに参加する人間の情報など様々。
行きで伊地知に軽く説明は受けたけれど、なにせ長期の警備任務は情報が多いのでスマホに直接送ってもらったのだ。
今見たからと言って勿論全て覚えられるわけない。が、少しでも頭に入れておいた方が損がないのも確かなので、という比較的真面目な性格のAは、大人しく3つめのファイルを開いた。
全てのファイルを見終わる頃には既に空は暗くなっていた。まだ夕飯を食べていなかったことを腹の虫が盛大に知らせて思わず『あ、』とお腹に手を当てる。
キッチンの台の上にダンボールとは別で避けられていた、真希イチオシ出汁袋が目についた。
折角だしそれを使って、簡単なうどんとほうれん草のおひたしを作るというのはどうだろうか。
早く胃に入れられる美味しいお手軽料理……完璧。
そうと決まれば10分で出来上がった。
小さめの丸いテーブルに出来立ての夕飯を置いて合掌する。『いただきます』と呟いて箸を持ち上げる。
『(いや、もう貰った時点でわかっていたさ。)』
『リピート確定。』
.
548人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:雨が好きな人 | 作成日時:2023年1月11日 18時