14話 ページ15
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見るたび、話すたびに時折見せるオーラ。本人ですら意識していないそれを絵心は感じ取って、警戒した。
別の枝の先、形もレベルも違う、足裏を冷風が通るようなそれを自身の知る“エゴ”と呼んで良いものか考えた。
己の人の判断基準は大方それなので癖とも言えよう。
考えた結果、ただでさえ呪術師はイカれているのに特に面白いのを寄越してくれたのだとプラスに考えることにした。
きょとんとした顔で己の手と顔を交互に見やるAに、含んだ笑みを向ける。
「ようこそ
____
責任者という協力者を得たAは意気揚々と清掃に取り組んでいた。後ろからは夕飯を食べ終えたであろう選手の足音と話し声が聞こえてきて、急いでゴミを回収しようと腰をかがめる。真後ろで足音が止まった。
お邪魔かな、とずれようとすると声をかけられたので顔を上げる。
『何か?』
「っ、あ…その、」
『……すみません、喧嘩は買わない主義なんです』
「え!?売りに来たわけじゃないです…!」
声をかけられ振り向くと囲まれた。恵の影響でか、それを“喧嘩を売られている”とイコールしてしまったAの誤解を慌てて1人の青年が否定した。同時に一気に緊張感がなくなる。
青年_潔世一_は柔らかくなった雰囲気に背中を押され、口を開いた。
「マネージャーの如月Aさん、ですよね」
『はい、私が如月ですが…』
どうかしただろうか、と首を傾げると何処かで見たことのある坊主頭がカクカクした動きで一歩前に出てくる。
「お、お久しぶりですAさん!!何でこんなとこにいるんすか!?」
キラキラした眼差しを送ってくる坊主君。
緊張しているのか敬礼までしだした坊主君。
口の端に米粒ついてるよ坊主君。
そして最後に、
『(………すまん。誰だ、坊主君。)』
はて、君の名は。
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作者名:雨が好きな人 | 作成日時:2023年1月11日 18時