12話 ページ13
考え込むように黙るAに絵心は不思議そうに目を細めたが、Aが持つお盆を見ると納得したように頷いた。
「置いておきなよ」
『え?』
「お茶が冷める前には戻ってくるさ」
私は少し
実際、お茶の行方をどうしようかとも思っていたので有り難くお言葉に甘えさせてもらう。
一口お茶を口に含んだ絵心に素直に礼を言ってお茶を並べる。
『ところで絵心さん、これ視えてますよね?』
「…………あ"?っ」
湯呑みに口をつけた絵心にずっと気になっていたことを問いかける。動揺と噎せるのを我慢している様子を見て、口を緩めた。そして、表に出すまいと気を付けていたアゲアゲテンションが解禁された。
『やっぱり視えてたんですね!いやぁ、実は昨日から私の制服とか動向を観察したり、呪霊に反応してる節があったのでもしかしたらって思ってて…』
「ちょ、ゴホッ…ちょっと…」
『本当は説明するのやめよっかなって思ってたんですけど視えてんなら話はぁ早い!説明が楽で助かります、ン"っヴン』
「酔っ払いか??」
咳き込んで尚話を続けようとするAに待て待て、と手を挙げてストップを主張する絵心。
それを見てようやくAは口を閉じる。若干楽しそうにしていたのは気のせいだと思いたい。
絵心は息を整えると、恨みがましい目でAを見た。
「ハァ…ったく、説明はしなくていい。基礎的なことなら教えてもらったことがある。10年前、Aちゃんの制服と同じボタン付けてたからね。さすがにわかったよ」
『ホー…ぐるぐるですか?』
「そうだな」
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作者名:雨が好きな人 | 作成日時:2023年1月11日 18時