27 ページ28
.
「「「お頭やめとけ」」」
赤髪海賊団全員が口をそろえて言った。
まさか、シャンクスがご執心な人間が、海兵だったとは。男だということは100歩譲ったとしても、相性が悪すぎた。
シャンクスは彼を見つけたとたん、首に向けられた刀をものともせず、素手で掴んでそのまま彼に抱き着いたのを見て、赤髪海賊団は殺気を向けられていた自分達の船長よりも、若い海兵に同情した。うちのバカなお頭がすんません。
その後は無事にベックマンに引きはがされ喝を入れられている海賊を彼はすごく嫌な目で見ていた。
『...事情は聞きました。うちの者が迷惑をかけたようですみません。海賊だと聞こえたもので、咄嗟に剣を抜いた無礼をお許しください...ただ、見てわかる通り私は海兵です。あなた方を突き出すつもりはありませんが、どうぞ早急にお引き取り下さい』
話せばわかる海兵でよかった。殺気丸出しだった先ほどとは違い、丁寧な言葉遣いで、こちらにきれいに頭を下げる。若干距離は取っているが...。
「俺はシャンクス。Aだったな。お前俺の船に来ないか？」
『...あなたを殺したくはないんですが』
「だーはっはっは！その目もいいなぁ...綺麗だ」
『...すみません。やっぱり殺してもいいですか？』
どんなに嫌がられようと、冷たい目で見られようと、今のシャンクスには効かない。
むしろ、泣いていた彼と違う一面が見れて嬉しいと思っている。まるで恋は盲目というように、Aを見つめる目には熱を帯びている。
一方で、ひとつもなびいていないどころか、初対面で本気で殺したいとまで思っているAは、鞘に抑えたはずの刀を再び抜こうとして、子供たちに止められていた。
穏便に済ませるため、海賊である彼らを見逃がすのは彼らにとっても悪い話ではないはず。だが、中々引き下がってはくれない。Aが船に乗るまではいかないと言い始める始末。
このままでは、Aはまた子供たちの恩人である彼に刀を抜いてしまうと分かっていたので、大きなため息をこぼして教会を出て行った。
『...仕事に戻る。明日までにはここを出て行ってくださいね』
教会の古い扉が、音を立てて閉まる。
顔を見なくても後ろ姿だけで、Aがイライラしていたのが分かった。
「一筋縄じゃいかないな...まぁでも、その方が燃えると思わないか？」
シンと静まった教会内に、シャンクスの声だけが響く。
ベックマンは頭を抱えた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1575人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アップルパイ(プロフ) - めちゃくちゃ良い作品だった…(泣)神作品すぎるしゆりあさん天才すぎる…この作品に出会えてよかった…夢主も自分好みすぎて…最高の作品をありがとうございます…！！ (2月29日 13時) (
レス) @page43 id: c2bcbcc7a7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりあ(プロフ) - ななせさん» コメントありがとうございます！神作だなんて...!めちゃくちゃ嬉しいです！私もななせ様に出会えてうれしいです！ (2023年1月14日 19時) (レス) id: 029daaf82d (このIDを非表示/違反報告)
ななせ(プロフ) - なんで今までこんな神作に出会えなかったんだろう (2023年1月13日 22時) (レス) id: fd9fde8179 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりあ(プロフ) - crazyさん» コメントありがとうございます！何度も私のやる気を上げてくださって、最後の最後まで褒めちぎっていただいて...crazy様のことを女神というんです。崇めてます。番外編も作る予定ですので、よろしくお願いします！ (2022年10月9日 10時) (レス) id: 029daaf82d (このIDを非表示/違反報告)
ゆりあ(プロフ) - 美兎さん» コメントありがとうございます！美兎様、かつらが追い付かないほどの愛のコメントを頂き感謝でいっぱいです！もうきっと出家されてるんですよね。仏のようにこの作品を見守っていただきありがとうございました！ (2022年10月9日 9時) (レス) id: 029daaf82d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆりあ | 作成日時：2022年9月4日 19時
