『スイカ割り7』 ページ9
キョトンとした顔のレナちゃんに対し、俺達は完全に脳内フリーズ状態。
そんな俺達をレナちゃんは不思議そうに見てから、声を掛けたり目の前で手を振ったり頬をつねったり。でも俺達にはそれに反応する気力もなくただされるがまま。
そうして暫くしてスイカを切り分けたAが戻ってきて、固まっている俺達を見て首を傾げた。
「どうしたんですか固まって、レナちゃん何かあったの?」
「わかんない。ねぇAお姉ちゃん、レナお姉ちゃんに髪のお話聞いたよね?」
「え?そうだね?」
「生まれつきって言ってたよね?」
「そうだね、言ったね」
「ねー!」
「…」
「…」
俺とガキが白目を剥いて後頭部を床にぶつけたのはほぼ同時だった。
――――…
「そういう事だったんですね。通りで挙動不審だと思いました」
「いままでの俺の苦労ェ…」
「気遣う必要なかったんじゃん…」
縁側に背の順で腰掛けてスイカを頬張りながら事の発端を説明すれば、Aに苦笑いを返された。
Aいわく、子どもの相手をするときは決まって同じ質問をされるらしくもう慣れっこなんだとか。今思えばレナちゃんがAに対してプ○キュア発言しても動じなかった時点で気付くべきだったと反省。
スイカの種を口の中で弄びながら横目でAの様子を見れば、困ったように笑う紫の目とぶつかった。
「逆に気を遣わせちゃってすみません。でも容姿に関してはそこまで気にしてるわけじゃないので大丈夫ですよ」
「お姉さんの髪と目はさ、生まれつきって言ってたけど本当なの?」
「本当だよ。レナちゃんにも同じ事聞かれたから、今度機会があったらアルバム見せるねって約束したの。達也君も見に来る?」
「…いいの?」
「うん、ついでにアイスでも用意しとこっか」
「行く」
「現金な子ねー」
クスクスと笑うA。その目に傷心の色は無いように見える。…本当に俺が気にしすぎてただけなのだろうか?なんか釈然としない。
だって、気にしていない方がおかしい。他者とは違う生まれつきの色素、それで連想される言葉といえば、良くいえば特別視。悪くいえば差別だ。俺の想像だけれど、それが原因でいままで大変な思いをいていたのではないかとずっと気に掛けていた。
近所の爺さん婆さんだって、赤の他人だってのにAの安否を気に掛けている。食べ物のお裾分けとかは口実で、実際は安否確認が目的だと前に散歩してた時に会った婆さんが言っていた。
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渚(プロフ) - 月花さん» 返信が遅れてしまいすみません。1でもコメントしたのですが、Azpainter2というPCソフトを使っています (2020年2月3日 20時) (レス) id: b81e412f98 (このIDを非表示/違反報告)
月花 - 絵上手いですね。どうやってらんですか? (2020年2月3日 19時) (レス) id: a919e6fca7 (このIDを非表示/違反報告)
渚(プロフ) - 森田菜々子さん» ご要望にお応え出来ず申し訳ございません…。今後ともよろしくお願いいたします。 (2018年9月4日 20時) (レス) id: d823623ddd (このIDを非表示/違反報告)
森田菜々子 - すいません;最新頑張って下さいね。 (2018年9月4日 20時) (レス) id: e772f145ae (このIDを非表示/違反報告)
渚(プロフ) - 森田菜々子さん» えっと、それは短編小説のリクエストでしょうか?それですと申し訳ないのですが、小説のリクエストは受け付けておりませんので…。 (2018年9月4日 18時) (レス) id: b81e412f98 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:渚 | 作成日時:2018年1月14日 17時