71松 ページ20
単に部屋に入られたのを不快に思ったのか、それとも見られたくない物があったのか。
どっちにしろ後でちゃんと謝った方がいいだろうと思いつつ、あのアルバムを見ながらAの家族構成について聞けるかもという期待を少しだけ内に秘めていた。
俺の予想が正しければ、あの仏壇にAの抱えているものと関係があるかもしれない。
あの遺影が曾祖父母だった場合はまだいいと思うけど、もしあの人が母親だったら、下手をすればAの心の傷を抉る事になるかもしれないし、知ったところで俺にどうこう出来る問題でもないと思う。だけどそれよりも、今は知りたいという欲が自制心より勝っていた。
「(心の傷を好奇心で見たいなんて…、クズもいいとこだわ…)」
「おい、いつまでやってんだよ!いい加減離せよ!」
「あ、ごめん、素で忘れてた」
――――…
「この写真はね、私がレナちゃんと同い年の時に撮ったやつなんだ」
「ごさい?」
「そう、五歳。保育園の運動会の時のなの」
「お姉さんの靴、片方脱げてるじゃん」
「走るのに夢中で気にしてなかったみたい。もうよく覚えていないけどね」
居間でアイスを頬張りながらアルバムを観賞中。
あまり興味が無い風を装いながら横目でずっと写真を見ているけど、その中に映る幼いAはどれも可愛いらしかった。
髪は今とあまり変わらない長さで、全ての髪が後ろで二つの三つ編みになっている。
そしてやっぱり、色は今と何も変わっていなかった。
「このひとだれ?おねえちゃんのとなりにいるひと」
「この人?私のお母さん」
すかさずそちらに目を移した。
レナちゃんが指差している部分には、予想通りあの黒髪の女性が写っていた。
小さなAに寄り添いながら優しく微笑むその顔は、本当にAとそっくりだ。
「(…この人が、Aのお母さん…)」
撮っている場所は様々で、家の中の日常を撮ったものや、公園、遊園地、水族館とか、色んな場所でA個人や母親とのツーショットの写真がアルバムの大半を占めている。これを見れば、とても仲が良い親子だったんだって事が伝わってくる。
後はチラホラと友達との集合写真や、もう一枚の遺影に写っていた爺さんと婆さんとの写真があったり、その全てにAの幸せそうな顔が写っていて、見ているとつい口が緩みそうになる。
…だけど見ていく内に、一つ不自然な点があることに気付いた。
「…Aのお父さんは?」
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渚(プロフ) - 月花さん» 返信が遅れてしまいすみません。1でもコメントしたのですが、Azpainter2というPCソフトを使っています (2020年2月3日 20時) (レス) id: b81e412f98 (このIDを非表示/違反報告)
月花 - 絵上手いですね。どうやってらんですか? (2020年2月3日 19時) (レス) id: a919e6fca7 (このIDを非表示/違反報告)
渚(プロフ) - 森田菜々子さん» ご要望にお応え出来ず申し訳ございません…。今後ともよろしくお願いいたします。 (2018年9月4日 20時) (レス) id: d823623ddd (このIDを非表示/違反報告)
森田菜々子 - すいません;最新頑張って下さいね。 (2018年9月4日 20時) (レス) id: e772f145ae (このIDを非表示/違反報告)
渚(プロフ) - 森田菜々子さん» えっと、それは短編小説のリクエストでしょうか?それですと申し訳ないのですが、小説のリクエストは受け付けておりませんので…。 (2018年9月4日 18時) (レス) id: b81e412f98 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:渚 | 作成日時:2018年1月14日 17時