日常6『虫1』 ページ1
――スパァンッ!!
居間に響き渡った大きな音の後、僅かな静寂が辺りを支配した。
部屋の端で膠着していた俺は、音の発信源であるAから目を逸らせない。その視線に気付いたのか彼女は此方を振り返り、雑誌を丸めた棒を片手に微笑みながらこう言った。
「G処理完了です」
――――…
「……なんつーか…、なんかもっとこう…」
「?」
「女の子って虫とかいたら怖がるっつーか…、そういうのないの?」
ゴキブリ駆逐後の居間で先ほどの情景を思い出しながら問えば、Aは煎餅を頬張りながらんーと頭をひねった。
「田舎に住んでたら自然と耐性付きますからね。私も昔は虫が苦手だったんですけど、一人暮らしだと自分で対処しないといけなくなりますから」
「田舎っ娘のたくましさたるや」
「でもゴキブリとか家に入り込む虫は慣れましたけど、ムカデとか蜂とか外にいるような虫は苦手なんですよ」
「え、そうなの?」
「そうなんですよ。同じ虫だって分かってるんですけど不思議なもので、どうしても慣れないんです」
一口お茶を啜ったAは、少し眉を下げて困ったように溜息を付いた。
「日頃から掃除はやってるんですけど、綺麗にしたつもりがどこかの隙間から入ってきちゃうみたいで。夏はもちろんのこと、冬だって冬眠目的の亀虫やらてんとう虫やらがワラワラと…」
「あーそれウチもだわ。いまだにGを見つけたら兄弟で擦り付け合ってるし、猫が家に来る時お土産にってよく獲物を捕って来るんだけど、虫とかネズミとか鳥とか正直対処に困る」
「じゃあここだと余計に大変になるかもですね。生き物が多いですし何かしら持ち帰ってきちゃうかも」
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渚(プロフ) - 月花さん» 返信が遅れてしまいすみません。1でもコメントしたのですが、Azpainter2というPCソフトを使っています (2020年2月3日 20時) (レス) id: b81e412f98 (このIDを非表示/違反報告)
月花 - 絵上手いですね。どうやってらんですか? (2020年2月3日 19時) (レス) id: a919e6fca7 (このIDを非表示/違反報告)
渚(プロフ) - 森田菜々子さん» ご要望にお応え出来ず申し訳ございません…。今後ともよろしくお願いいたします。 (2018年9月4日 20時) (レス) id: d823623ddd (このIDを非表示/違反報告)
森田菜々子 - すいません;最新頑張って下さいね。 (2018年9月4日 20時) (レス) id: e772f145ae (このIDを非表示/違反報告)
渚(プロフ) - 森田菜々子さん» えっと、それは短編小説のリクエストでしょうか?それですと申し訳ないのですが、小説のリクエストは受け付けておりませんので…。 (2018年9月4日 18時) (レス) id: b81e412f98 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:渚 | 作成日時:2018年1月14日 17時