ホットミルク。（ar ×in） (ページ29)

今日:19 hit、昨日:2 hit、合計:30,247 hit

28杯目ページ29

たかぎ俺の家の前で待ってるらしいから

なんて言われたけどいつもとは違う

俺の右手には伊野ちゃんの手が握られていた

伊「ふふ、大ちゃんめちゃ幸せそうじゃん」

有「伊野ちゃんは幸せじゃないの？」

伊「幸せだよ？夢みたい」

微笑む伊野ちゃんの握る力が強くなる

それに答えるように俺も握り返す

玄関の扉を開ければ

伊野ちゃんちの塀にもたれかかって

携帯を見ている高木さんの姿

ドアの開く音に気が付き

顔を上げた高木さんの目は優しそうだった

高「よかった、ちょっと長かったから心配したけど...

おめでとう、伊野尾くん、有岡くん」

おめでとうという言葉が

少し照れくさいけど嬉しかった

伊「ありがとね、たかぎ」

高「いえいえ、じゃ俺はそろそろ帰るよ」

伊「また明日～」

有「ありがとうございました」

去っていく高木さんはとても大人で

すごく女性にモテるんだろうな

伊「大ちゃん、たかぎのとこ見すぎ」

有「確かに高木さんもかっこいいと思うけど

伊野ちゃんが1番だもん」

口元を手で隠してる伊野ちゃん

隙間から見える頬が赤くなっていて

俺まで恥ずかしくなった

伊「...じゃあ俺らもそろそろ帰る？」

もう時計は七時を指していて

さすがにこれ以上引き止めちゃいけないって思った

伊「やっぱやーめた。

大ちゃん、もうちょっと大ちゃんちいちゃダメ？」

有「え？」

伊「もうちょっと大ちゃんといたいなって

俺のわがまま、聞いてくれない？」

有「いいよ、」

伊「やった、じゃ中入ろー！」

絶対嘘、

俺のこと、気遣ってるんでしょ？

俺って顔に出やすいって伊野ちゃん言ってたもん

伊「大ちゃん、一緒に書いて欲しいものがあるの！

一緒に書こ？」

有「うん、書いて欲しいものって何ー？」

伊「病院で新しい友達できてね？

その子に大ちゃんの話してたら

俺も仲良くなりたいー！だって！」

考え込んじゃ、ダメだよね

もっともっと伊野ちゃんと一緒にいて

ずっと伊野ちゃんと過してたいから

...でも、この時間ってずっと続くわけじゃなかった

俺の勘って案外鋭かったんだね、