プロローグ・薄桃色の姉編 ページ6
「なあ、なあ!大丈夫か?」
「う、うーん……?」
目が覚めると、知らない場所だった。暗い色をしたフローリング。それから、すっごく高い天井に、ありえないくらい沢山の扉!
「ど、っえ?……ここ、……どこ?きみは?」
「落ち着いて。恐らく、オレ達みんな同じ境遇なんだ。よくわからないまま、ここで目が覚めたんだよ」
私を起こしてくれた一つ結びの男の子の肩越しに、黒髪の、女の子の私も顔負けの美少年が言った。ていうか、私を起こしてくれた子もすっごいかっこいいじゃん!何ここ?大きな洋館と見せかけて、アイドル育成学校だったりする?
「まだ意識がぼうっとしてるみたいだね。無理もないか」
「エッあっ、ごめんなさい!その、アイドルが……」
「はァ?アイドル?」
二人がきょとん、と私を見つめる。アッやばい!恥ずかしい!
「なっ、なんでもない!なんでもないよ!えっと、」
慌てて身振り手振りまでして、誤魔化そうと言葉を探していたその時だった。
「こんばんは、みんな。気がついたかしら」
聞き覚えのある声がした。それも、″夢の中での″お友達の声。
「かっ、カスミちゃん!?」
誰かの声がした方を振り返ると、口を開いたのが眼鏡をかけた男の子だということがわかった。それに、その視線の先にはまさしく私の夢の中でのお友達、カスミちゃんの姿!
今男の子がカスミちゃんの名前を呼んだということは、もしかしてここにいるみんな、彼女と知り合いなの?
「ふふっ、乱烈くん。それに他のみんなも、混乱してるかしら」
台詞こそ私達を気遣うような言い方だったけど、声色も表情も全く気にした様子はない。
螺旋階段の途中の段、手すりに両手を組んで伏せた体勢で、カスミちゃんは私達を見下ろして立っていた。だ、大丈夫?見えない?何がとは言わないけど……。
「ここにいるみんなはね、わたしが連れて来たの。ここはね、わたしの夢の中」
誰かが問う前には、もうカスミちゃんは私達が聞きたいことを自主的に言っていた。ん?待ってよ、カスミちゃんの夢の中……?
「エッ!?それってつまり、どゆこと!?」
「うわっ」
突然立ち上がりながら大きな声で言ってしまった。そのせいで、私を起こしてくれた時から屈んだ体勢のままだった男の子が驚いて飛び退く。
「あ、ごめん!ダンナ!」
「お、おお……急に元気になったなァ、お前」
私と彼のやりとりを見て、カスミちゃんがくすくす笑った。
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