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「ほ、ほんとに？わたしと咲楽ねえ、似てる？」
わたしの問いかけに、かえでちゃんはにっこりと笑ってうさぎさんをぎゅっと抱きしめた。
「うん！とっても。優しくて明るくて、かえでやみんなのこと、陰から日の当たるところへと引っ張ってくれるような……そんな人達だなって思うの」
「え、えへへ……咲楽ねえはそうだけど、わたしも、そうなのかなあ……？なんだか、照れちゃうなあ」
でも、かえでちゃんがそう言ってくれるならきっとそうなんだよね。
褒められた嬉しさが冷めないまま、咲楽ねえと柚希ちゃんのことを見ていたら、不意にかえでちゃんが口を開いた。
「ねえ、ゆんなちゃん」
うさぎさんのぬいぐるみへの力が、更に少し強まってる気がする。
「どうしたの？」
ついさっきまでより心なしか、表情が暗い気がする。かえでちゃんの青い瞳が、わたしを捉えた。
「ゆんなちゃんは、みんなと一緒に行っちゃうの？」
「えっと……ここから帰りたいかってこと？」
そう聞くと、かえでちゃんはまた少し不安そうな顔色を強くして頷いた。
「カスミちゃんのそばから、……かえでの、そばから。離れていっちゃうの？」
「それは…………、うん。わたし、カスミちゃんとは一緒にいられない」
言い淀みつつもそう言うと、かえでちゃんは俯いていた顔を上げた。
「あのね、わたし……ここにいてもいいよって、最初にカスミちゃんに言ったけどね。でも、今は帰らなきゃって、そう思うの」
「どうして……っ？」
「咲楽ねえがいるから」
わたしはまた、正面の咲楽ねえに視線を移す。
「咲楽ねえに会って、思い直したの。わたし……帰らなきゃって。わたしが帰らなかったら、咲楽ねえ、きっと傷ついちゃう」
「それなら、お姉ちゃんも一緒にここにいればいいのよ」
強い口調で、でもどこか縋るように言うかえでちゃん。どうしてこんなに引き止めようとするのかは分からないけど、「無理だよ」と心に痛みを感じながらも彼女の発言を切り捨てる。
「咲楽ねえには、覚悟があるから。あの人は絶対に、家族のために帰るよ。だからわたしも、一緒にここから帰るんだ」
「ゆんなちゃん……！」
「かえでちゃんも、一緒に帰ろうよ！そしたらずっと、友達でいられるでしょ？カスミちゃんには、悪いけど……」
かえでちゃんの話す隙を無くすようにたたみかけると、彼女は口をつぐんだ。
そして、ふいっと視線を逸らして、こう言ったの。
「知らない……。かえで、帰るとかわからないよ。だってかえでは、ずっとここにいたもの。みんな、この世界が夢だとか、酷いことを言うのね」
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