・ ページ39
*
突然カスミちゃんに集められて、困惑の中顔を見合わせる私達。
しかも収集をかけた当人であるカスミちゃんはまた姿を消してしまったし、ど、どうなっちゃうの〜〜!?
なんて思っていたけど、別にどうともなっていないのが現状である。
まってまって、一旦状況を整理しよう。まず、「とりあえず知らない子もいるし、またお互い大まかに自己紹介しよう!」という流れになったんだけど、今はそれも終わって。
今ではみんな、思い思いに過ごしている。そう、文字通り思い思いに……。
こら!そこの子達、UNOするな!乱烈くんは……何書いてるの?あ、狩くんは知らないうちにどっか行っちゃってるし!
せっかくだから少し休憩しよう、なーんて言いつつ、いつの間にやらすっかりこの場は和んでしまっている。なんで!?どして!?
「咲楽ねえ?どうかしたの?」
「お姉ちゃん……?」
隣で仲良くお話をしていたゆんちゃんとかえでちゃんが、きょとんとした顔で私を見上げている。
そっか、二人から見たら大分ぼーっとしてるように見えたのかね。「ううん、大丈夫だよ!」と笑いかけると、二人ともほっと顔を緩める。うーん、かわいい!
けど、この状況に戸惑っているのは事実だ。みんな、きっと緊張しっぱなしだったと思うし、この学校のお昼休みみたいな、にぎやかな空気感に水を差してしまうのには気が引ける。
でも。
「ねえ、みんな!」
私は一つ深呼吸をすると、一歩踏み出して声を上げた。
みんなが話すのをやめて、私の方を向く。
「ごめん。あのね、一つ聞かせて欲しいの」
きっと、こんなことを聞くのは野暮だと思う。それでも、きちんとみんなの口から聞いておかなくちゃ気が済まないんだ。今から口にする言葉への抵抗を薄めるように、頭の中で自分に語りかけた。
そしてまた、みんなを見回して口を開く。
「みんなはさ、」
「────本当に、帰りたいと思ってる?」
12人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ