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「もう、ここ……どこぉ〜……?」
勢いで追いかけちゃったけど、当人の守くんは完全に見失っちゃったし、萌音ちゃんと柚希ちゃんともはぐれちゃったし。
今、奏がどの辺りにいるのかも全く分からないよ〜!
「奏ちゃん、ごきげんよう!」
「きゃあっ!?」
突如目の前に、ふっとカスミちゃんが現れた。び、びっくりしたあ……。
「カスミちゃん、助けて……!もうどこにいるのかも分かんなくって」
もう泣きそう。カスミちゃんは私のそんな様子を見て、うーんと唸ったけど、すぐに眉根を下げて折れてくれた。
「しょうがないわね。まあ、これ以上彷徨わせてもみんな出会えそうにないし、もう手助けしちゃおうかな」
カスミちゃんがそう言った瞬間、空間が変わった。いや、カスミちゃんが変えたんだ……!
「わっ……」
「何が起きたんだ!?」
お屋敷の玄関ホ ールのような場所に移動したらしい。もっとも、出口らしい扉は見当たらないけど。周りには、何人もの子供達──といっても私と同い年くらいの人もいるけど──が次々に姿を現していく。その中には、はぐれてしまった守くんや萌音ちゃん、柚希ちゃんの姿もあった。
でも、声をかける暇もなく、ホール内の奥にある螺旋階段の備えられた段差にカスミちゃんが立ち上がる。
「もう、みんなってば全然合流してくれないじゃない。仕方ないから、わたしが収集かけてあげたの!」
むっとした表情のカスミちゃんが、ステージの上から私達の顔を見回す。
「合流ってどういうこと?というよりも、そもそもどうして最初から全員を同じ場に集めていなかったの?」
髪の長い女の子が聞く。あの子、すっごい美人さんだ……!背が高いし、高校生くらいかな?
「だって、自分達で合流して欲しかったから。自分の足で、まだ見ぬ仲間と合流する!すっごく冒険って感じがしてわくわくしない?」
「何がわくわくだよ。いいから早く帰せって」
にこやかに声を弾ませるカスミちゃんに、灰色の髪をした男の子が言った。なんだかツンツンしてるなあ。
「そう言わないで、虹羽くん。それに、みんな大分歩いて疲れた頃じゃない?今度から定期的に収集かけてあげるね」
「そんな気遣いいいからさ……って、何言っても無駄か」
男の子は半ば諦めたように口を閉ざした。カスミちゃんは気にしない様子で口を開く。
「そろそろパーティーの準備が出来た……と言いたいところなんだけど、生憎まだ全然準備が整っていないの。みんなは一旦、ここでゆっくりしてて。まあ、また散策したいならそれでもいいけどね」
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