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「確かに……私が普段カスミちゃんと会ってる時は、こう……目を瞑ってれば自然と目が覚めるんだけど……」

言いながら目を強く閉じてみる。いつもはこの世界に来る時と同じ、あのゆらゆらするような感覚があるんだけど……今は念じてみても来ないなあ。

「うーん、全然駄目みたい。なんでだろう」
「やっぱりぃ、カスミちゃんの夢の中だからじゃねぇのぉ」
「とは言っても、彼女の夢の中と僕らの夢の中、その二つの違いがよく分からないよね」

頭を捻る私と気怠げに言った狩くんを見て、しるべくんが続ける。

「そうだよなあ……でも、分からないことを考えても仕方ないんじゃないか?」
「そうヨ!ワー今してる話全然分からないけど、とりあえず帰れればいいネ」

輝月くんに続けてさっぱりした態度の明聖くんが言う。しるべくんは「それもそうだね」と微笑んだ。

「とりあえず、輝月くんが言うように散策してみるしかなさそうだね」
「うん!よーし、それじゃあれっつご──」
「ああいやぁ、俺はいいかなぁ」
「えっ!?」

思わず大袈裟に驚いてしまった。「うっさ」と顔を歪める狩くんを見やる。

「なんでなんで!?なんでそんなこと言うの〜!」
「だからぁ、お前はうるせぇの。狩は狩の好きなことをするだけぇ。ほっといてよ」

初対面のくせに、と言われて口をつぐむ。うっと言葉に詰まる私を見て、Aくんが声を上げた。

「ほら、バラバラになると何があるか分からないだろ?オレも固まって行動した方がいいと思う」
「はいはい、そっかそっかぁ。んじゃ、俺はもう行くねぇ」

Aくんの制止も聞かずに、狩くんは階段を登って行ってしまった。

「あっ、ちょっと!狩くん!」
「咲楽、待てよ。お前まで居なくなったら、いよいよバラバラになっちまうぜ」

追いかけようとする私をAくんが引き止める。

「ひとまず、ここにいる奴らだけで行動しよう。無理に連れて行ってもいいことないぞ」
「で、でも!」
「Aの言う通りだと思うぞ。大丈夫だって!夢の中で危ない目に遭ったこと、少なくとも七瀬はないし」
「輝月くん……」

言われて考える。そっか、確かにカスミちゃんと会っていたのがこことは違う……私の夢の中だったとはいえ、彼女と会っていて危険な目に遭ったことはなかった。それは私もおんなじだ。

「そっか、それも、そうだね。カスミちゃんを信じよう」

私が頷くと、しるべくんも頷いて声を発した。

「それじゃあ行こうか。って言っても、どうしよっか……とりあえず、どこかの扉を開けてみる?」

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作者名:褪紅 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2022年5月17日 7時

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