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「
それだけ言うと、彼は私達を見回して「まあ、そこそこによろしくねぇ」と最後に付け加えて言った。
「うんうん、よろしくね、狩くん!私の方がおねえちゃんみたいだから、困ったことがあればいつでも──」
「だぁかぁらぁ〜、お前は一々うるせえのぉ。早く進もうよぉって、言ったばっかだよねぇ?」
「はっ!ごめん!そうだったね!」
勢いよく空気を吸い込み、自分でも大袈裟だと思うほどに白々しく驚いてしまった。うう……初っ端から情けないなあ、私……。
内心しょんぼりと落ち込む私とは裏腹に、周りのみんなは私と狩くんのやりとりで笑ってくれた。
「あっはっは!咲楽、だっけ?お前本当面白いのな。そうそう、七瀬は
私よりも長い青髪が特徴的な男の子が朗らかに大きな声で言った。
「男バス……はっ!バスケ部だねっ!?わあ、高校のバスケ部とか王道の青春漫画って感じ!」
「だよなあ!バスケ部に関しては結構な強豪校で──っと、この話はまた後でな」
「またうっかり話を長くするところだった」と輝月くんは照れ笑いを浮かべて頭をかいた。
私もつられて笑ってしまう。輝月くんって、絶対みんなの中心にいるタイプだよね!ああ言う雰囲気のいい人って一緒にいて楽しいよなあ。
そんなことを考えていると、不意に私のすぐ傍に立つ一つ結びくんが視界に入る。
「んじゃあ、次はダンナ!どうぞっ!」
「お前さっきもオレのことそう呼んだけど、ダンナって何だよ」
一つ結びくんは眉を下げて笑った。心の中で笑ってるでしょ。全くもー。
私に言われて、彼は口を開いた。でも、彼の自己紹介を聞いて、正直耳を疑ってしまった。
彼は「オレはァ……」と何故か頭を捻った後、「あっそうだ!」と何か思い付いたと言わんばかりに肩を跳ねさせた。そして、こう言ったの。
「少年A!オレは少年Aだ!」
へっ?
言われて、ちょっと固まっちゃった。見れば、みんなも不思議そうにしている。しるべくんだけは何だかちょっと、変な顔してるけど……。
「お前、″エー″言うアルか」
明聖くんが何も気にしない様子で言うと、″少年A″くんは「あァ」と頷く。
「そうそう、しるべとは実は昔っからのマブダチなんだ。中学が同じでなァ」
「へえ、そうなのか!ダチがいるっていいな」
輝月くんが笑みを浮かべて言うと、しるべくんが頷いた。
「うん、そうなんだ。オレも彼がいて心強いよ。それで、次は──」
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