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「で、ボク達と出会ったわけかぁ」
もっとも、あの時は凄く驚かせてしまったけど……って、恥ずかしいからもう考えないようにしよ。
ボクの言葉を聡迷くんが「うん」と肯定する
「どの辺りに出たのか全く分からないから、ちょっと困惑してるんだけどね。って言っても、この状況自体が特殊すぎて今更感あるけど……」
「あはは……」
ゆずが困ったように笑った。そして、「でも、」と続ける。
「享くんのこと、沢山助けてくれたんですね」
「そんな、大袈裟だよ。みんなより年長者なんだから、しっかりしなくちゃって思っただけで……」
「大袈裟じゃないことないよ!だって普通だったら落ちてる時に他の子を助けようなんて、咄嗟に思えないもん」
聡迷くんの謙遜を食い気味に否定する。ホントに凄いもん!ピンチのときに他の子のために、素早く動けるなんて。
少なくとも、ボクには出来ないな。実際────。
『───萌音ッ!』
『助け──』
「……っ!」
「いや、本当に大したことないよ。って、あ……」
不意に、先頭の聡迷くんが足を止めた。それに気がついて、慌ててボクも足を止める。
「扉……?」
聡迷くんの身体越しにゆずが先を覗き込み呟いた。言われて目を向けると、木で出来たよく見るような扉が無機質な壁に張り付くようにして存在している。
ボク達は誰からともなく顔を見合わせ、扉まで進んでいく。
やがて眼前まで扉が迫ってきた時、聡迷くんが一度ボクらを振り返り……そしてゆっくりとノブを回した。
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