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「知れるならさ、教えてくれよ」
「えー、やだ」
「な、なんでだよ」
あっさりと拒絶されたことに思わず吃る彼に、カスミちゃんは再び「んー、」と小さく唸った。
「守くんさ、自分からどんどん進んでったよね?奏ちゃん、止めてたのに」
「わたし、知ってるよ」と言われ、彼は僅かに肩を揺らした。
「知ってるって……」
「そのままの意味よ。最初の方はみんなの様子が気になって、こっそり見てたの。わたしの夢なんだから、わたしにとってはなんでもアリなのよね」
くすくすとカスミちゃんが笑う。「どういうことだよ」と彼が問うた。
「うーん……まあ、見てた、としか言いようがないわね。そんなことよりね、守くん」
話の腰をやや強引に折って、カスミちゃんはすっと私を指さした。
「織慧ちゃんに自己紹介して。織慧ちゃんも、守くんに自己紹介して!」
私を呼んでから、今度は彼を指さすカスミちゃん。そして、「わたし、ここで見てるから」。
そう言って、また微笑を浮かべた。
「な、なんでだよ。なんで俺がこんな失礼な奴に……」
「現時点で失礼なのはお互い様よ。もう、キリがないわね。織慧ちゃん、織慧ちゃんなら分かってくれるでしょう?」
ね、と呼びかけるようにカスミちゃんが小首を傾げて私に笑みを向ける。仕方ないわね。しなければ、何時迄も解放されなさそうだわ。ここは一つ受け入れるしかないかしら。
「仕方ないわね、カスミちゃんがそう言うなら」
そう言って、私は彼の方へ身体を向けた。
「小鳥谷織慧。高校生よ」
「好きな食べ物は?」
大人しく従ったのが嬉しかったらしく、カスミちゃんがにこにことしながら私に問うた。いつも通り目は完全に笑っているわけではないけれど。
「そうね、とりわけ食に拘りがあるわけではないけれど。強いて言うなら味の薄いお味噌汁かしら」
「入ってる具材は?」
「時によって違うけれど、じゃがいもが入ってるお味噌汁が一番好きよ」
もはやインタビューね。適当に聞かれた事に答えたら、カスミちゃんは嬉しそうにパチパチと拍手をした。
「流石ね、織慧ちゃん。わたし、答えてくれるって、あなたのこと信じてたわ」
「大袈裟ね」
くすくす笑ってから、カスミちゃんは私の隣へと目を向けた。
「じゃあ、次。守くんね」
話を振られた彼は、私と目が合うとカスミちゃんに気付かれないように一瞬だけ睨みつけてきた。そして口を開く。
「
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