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「ちょ、ちょっと待ってよ!ますます分かんないってばーー!!」
突然大きな声がして、思わずびっくりしちゃった。隣の女の子から発せられた声らしい。
「だって、カスミちゃんっておれの夢の中の子なんでしょ?なのに、ここが″カスミちゃんの夢の世界″ってそんなのおかしいじゃん!!それじゃまるで、」
「わたしが本当に存在してるみたいだ、……って?三羅くん」
女の子が紡ごうとした言葉の先を見透かしたかのように、カスミちゃんは含みのある笑みを浮かべたまま軽く首を傾げて問うた。
「そ、そうだよ。一体どういうこと?」
チヅルちゃんがみらくん?の代わりのように口を開いた。
って、カスミちゃん、あの女の子のことくん付けしたよね。
ってことは、あの子、男の子なの!?可愛い服を着てるっていうのを差し引いても、女の子みたいな顔してるのに。うーん、これって、失礼な考えなのかもしれないな……とにかく、みらくんが男の子だって覚えておこう。
わたしがみらくんの性別に驚いている間に、あのセーラー服を着た綺麗な女の子が突然カスミちゃんへとゆっくり歩き出していた。こんな状況なのに、足きれい〜なんて思ってしまった自分が恥ずかしいよ。
女の子はカスミちゃんの目の前まで歩いていきながら、淡々と告げた。
「どうやってこの状況を創り上げたのか、それは最早どうでもいいわ。それよりも聞くべきなのは、貴女の目的の方よ」
くすくすと笑うカスミちゃん。赤みがかった蜂蜜みたいな色の目は、女の子の顔を見据えている。
「流石は織慧ちゃんね。いいわ、教えてあげる。だらだらとここで立ち話しているのもなんだしね。あのね、わたしはみんなとずーっと一緒にいたいの。だからみんなを連れて来ちゃった」
えへへ、と今度は無邪気な笑みを浮かべるカスミちゃん。おりえと呼ばれた彼女は、カスミちゃんの言葉に少し顔を顰めた。
「それだけ?」
「ええ、それだけよ。こうすれば、ずっと遊んでられるでしょう?夢の中で、誰にも邪魔されることなく」
「……呆れた」
カスミちゃんは何がおかしいの、とちょっとだけきょとんとしたあと、笑顔で続けた。それに半ば被せるようにおりえさんがため息を吐いた。
「もういいわ。帰らせてくれる?茶番に付き合ってあげる義理なんて私にはないから」
「何言ってるの。わたしから帰すことなんてしないわ。そんな半端な考えで決断してないんだから。何が不満なの、織慧ちゃん」
むっとした顔のカスミちゃんが珍しい。おりえさんはカスミちゃんの態度を気にせずに言った。
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